●悲鳴の正体
このお話は、一昨日のブログ(●悲鳴がする家)の続きです。
従って、一昨日のブログ(https://ameblo.jp/hirosu/entry-12316629772.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ]
ある日、電話で奇妙な相談が舞い込んできた。実家に行くと悲鳴が聞こえるというのである。
しかも、その悲鳴が聞こえる時に限って、母親の具合が悪くなり入院するのだという。
実家で聞こえる悲鳴と母の入院は何か関係があるのでしょうか?そんな電話相談だった。
事が起きたのは、練馬区にある彼女の実家だという。
現在、実家には、彼女のご両親が住んで居て、彼女も結婚するまでは、その家で育った。
彼女はというと、現在は結婚して、二人のお子さんの母親だが、
その実家とは、歩いて約15分のご近所に住んで居るという。
ある日、母親が、めまいと頭痛を訴えてしゃがみこんでいるのを心配して、
父親が、すぐに病院に連れて行った。すると、MRI検査で脳梗塞が見つかったのである。
母親は即日入院。電話をもらった彼女も、すぐに病院に駆け付けた。
幸いお母様は、深刻な脳梗塞では無かったらしい。2週間ほど入院したという。
ただ、母親が入院してから1週間が経った時に、彼女が病院にお見舞いに行くと、
入院している母親から、お父さんがちゃんと食べているか行って見て欲しいというのである。
彼女は5歳の娘と6歳の息子を連れて、実家に泊まりに行った。
すると、案の定、お父さんは、コンビニ弁当やカップラーメンを食べいたらしく、
ゴミ箱の中に、それらしい容器が1週間分位捨ててあったという。
また、洗濯物も溜まり放題で、病院から持ち帰った母の下着などもそのままだった。
「お母さんが、心配してた通りだった。」とりあえず、母の下着だけでもと洗濯機を回し、
夕食は野菜中心の献立にして、久々に4人で食事した。
ただそんな中、5歳の娘のメグミちゃんが時々、両手で両耳をふさいでいるのである。
メグミちゃんは、「だって、悲鳴が聞こえるんだもん。」と言ったというのだ。
聞くと、この家に入って来た時から、悲鳴が聞こえ続けていたらしい。
ただ、6歳の息子に聞いても、そんなの聞こえないというし、
父に聞いても、悲鳴など聞こえないという。勿論、私も聞こえなかった。
母が入院する前には、娘は多分20回はこの実家に来ているのだが、
一度も悲鳴が聞こえるなどと言った事は無かった。今回が初めてである。
翌日、娘が起きて来た時にもう一度聞いてみた。すると、もう悲鳴は聞こえないという。
その後、母は無事退院し、翌々日、退院祝いを実家で行ったという。
その時にも娘と息子を連れて実家に行ったのだが、何事も起きなかったという。
それから半年が経った時、再び母が入院した。今度も別の場所の脳梗塞だった。
即日入院。そして1週間後、再び母に頼まれ、また実家に行く事に。
娘が手で耳をふさいだのだ。聞くと、やはり悲鳴が聞こえるのだと言う。
言葉にならない「ヒィー」という様な悲鳴だけが聞こえるという。
そして、この時も、翌朝には聞こえなくなっていたという。
つまり、母が健康だった頃や、退院した時には悲鳴は聞こえず、
娘が悲鳴を聞いた2回の時に限って、母も入院したのである。
彼女は、その不気味な一致を心配して、相談してきたのだった。
私は彼女に、「今度、娘さんが実家で悲鳴が聞こえると言った時、電話下さい。
それから半年が経った時だった。再び彼女から電話があったのだ。
「今、娘と実家に居ますが、また娘が悲鳴が聞こえると言っています。」と。
私は、車に飛び乗ると、急いで彼女の実家へと向った。
簡単な挨拶を交わした後、さっそく娘さんに会わせてもらった。
髪の毛が肩まであり、前髪が眉毛近くまで垂れた丸顔の可愛い子だった。
「初めまして、メグミちゃん。」短刀直入にどこから悲鳴が聞こえるのか聞いてみた。
すると、メグミちゃんの口からショッキングな事が・・・
なんと、もう、悲鳴が聞こえなくなったというのだ。これには、参った。
聞くと、30分前くらいまでは悲鳴がしていたのだが、
それからパタリと、悲鳴がしなくなってしまったというのだ。
一応、家の中を二階を含めて全て調べたのだが、特に気になる様な所は無かった。
悲鳴が一番大きく聞こえた感じがしたのは、居間だったという。
今は12帖以上あると思われる大きな部屋だった。
しかし、さっきも居間は調べたが異常は無かった。改めて調べたのだが嫌な感じはしない。
とりあえず、今までの事を心の中で整理してみた。今までした悲鳴は、合計3回。
■一回目は、悲鳴は1日中していて、翌朝メグミちゃんが起きた時には止んでいた。
■二回目も、悲鳴は1日中していて、やはり翌朝止んでいたという。
■そして、今日3回目の悲鳴は、奥さん達が来た朝9時にはしていたのに、
私が来た1時間半後には、止んでいた。
なんで、今回だけ悲鳴は一日中していなかったのだろうか?
なんで、悲鳴は今回だけわずか一時間しかしなかったのだろうか?
あと、あと少しだけ、前回と違う事があった。それは奥さんが来た経緯だ。
■一回目も二回目もお母さんが軽い脳梗塞で入院。病院に見舞いに行ってから実家に。
■しかし、三回目の今日は、お母さまは十二指腸潰瘍で入院なさったという。
お母さまから彼女に入院してから一週間後に電話があり、
今回は自宅から直接この実家に来たという。
目をつぶって、精神を集中させた。何か見落としているんじゃないか?
私は、何かこの謎の悲鳴を解き明かす手掛かりは無いかと考えた。
何か見落としている所があるのではないか。
こういう時、
わずかな手掛かりを探すコツがある。
それは、
いつもと変わった所は無いか探す事だ。
今回の事をそれに当てはめるとすれば、
これまでは、悲鳴は一日中していて、朝になってから止んでいた。
それなのに、今回はたった1時間で止んでいる。
これはいつもと変わっている点だと言えよう。
でも、悲鳴がなんで今回に限り一日中していなかったのか、なんて、
悲鳴をあげていた霊に聞く以外に、理由など分からない。
あ~あ、オレが1時間早く来ていれば、聞こえていたのかなぁ。
なんて、思考が半分愚痴になりかけた時だった。
その時、ふと、
なんで、電話をくれてから私が行くまでの僅か1時間半の間に、
悲鳴は聞こえなくなってしまったのだろうか。と思い始めた。
そして、それこそが、謎を解く手掛かりだと気がついたのである。
きっと、電話をもらってから、私が行くまでの間の1時間半に、
何か悲鳴を止める様な事を、したのではないのか? そう思ったのである。
それは特に意識していない、他愛無い行為かもしれないし、
彼女が知らず知らずしてしまった事かもしれない。
結果的に、その何かをしたので、悲鳴が止まったのではないだろうか。
そこで、奥さんと娘さんに、
今日の朝、私に電話をしてから、私がここに駆け付ける1時間半の間に、
どんな些細な事でもいいから、何をしたか、聞いてみた。
二人はちょっと不思議そうな顔をしながらも、考えてくれた。
そうですね。貴方に電話をしてから、まず、
■電話機を置いて、トイレに行って、
■洗濯機の中にあった衣類を、二階のベランダに干しに行きました。
■あと貴方が来るというので、急いで玄関を軽く掃除して、
廊下と居間もざっと見回して、片づけました。
■あと朝食の時のお皿などを洗いました。
■娘さんも、歯を磨いて、あとはテレビを見ていたという。
聞いても特に変わった様な所は無い。
どれも前回と前々回の悲鳴が聞こえた時にもやっていた事だと言う。
おかしい。
もう一度聞いてみた。
「どんな些細な事でも、くだらない事でもいいです。
他に何かした事は無いでしょうか?」
特に、この居間限定で、何かしませんでしたか?
その時だった、娘さんが、
「ママ、お水あげてたでしょ。」という。
すると、お母さんが、
「ああ、そうね。
居間にあった観葉植物にお水あげたわね。」と言ったのである。
念の為に、前回と前々回の悲鳴が聞こえた時にも、水をあげたのか聞くと、
前回と前々回の悲鳴が聞こえた時にも、観葉植物に水をあげたが、
前回と前々回の時は、母親を病院に見舞いに行った帰りで、
実家に来たのが午後だったので、観葉植物に水をあげたのは翌朝だったという。
私はメグミちゃんに、念を押す様にして聞いてみた。
「お母さんが植物にお水をあげてから、
悲鳴が聞こえなくなったんじゃない?」
すると、「うん」という。
信じられない事だが、
メグミちゃんは、植物の悲鳴を聞いたのである。
世の中には、人の霊と話をする霊能者もいれば、
動物と会話が出来るアニマル・コミュニケーターもいる。
そして、植物の悲鳴や声を感じる事が出来る人も居るのだ。
私が知り合ったアメリカの霊能者の方は、希に植物の声が聞こえる時もあるという。
状況も段々と分かってきた。
実家のお父様は、面倒くさがり屋で、植物に水などあげなかったという。
それで心配した入院中の母親が彼女に、ついでに水やりも頼んでいたのだ。
彼女も実家で暮らしていた時には、水やり担当だったという。
きっと、お母様が入院中、お父様は植物に水やりをしなかったのだろう。
そして、毎回入院後1週間くらいした時に彼女が実家に行くと、
そこには何日も水やりしていない植物が、悲鳴をあげていたのだ。
これは考えすぎかもしれないが、
昔水やり担当だった彼女が来てくれたので、水を下さいと、訴えていたのかもしれない。
そんな植物の悲鳴を聞く事が出来たのが、メグミちゃんだけだった。
1回目と2回目は、水やりは翌朝だったので、それまで一日中悲鳴がしていたが、
今回は、朝10時頃に水をあげたので、偶然にも私が来る前に悲鳴が止んだのだった。
勿論、お母様が入院していない時は、お母様が毎日水やりしていたので、
植物から悲鳴があがる事も無かった訳である。
では、自然に生えている草木も水が足りなくなると、悲鳴をあげるかと言うと、
霊能者いわく、そうではないらしい。
例えば、猫で考えてみると分かりやすいという。
家で飼っている猫は、お腹が空くと飼い主に泣いて知らせる。お腹空いたよう。と。
でも、野生の猫は、お腹が空いても泣きだしはしない。
誰か決まった人が、エサやりにきたり、発情期ならともかく、
お腹が空いたと鳴いても、どうしようもないと分かっているから我慢するという。
そういう事を考えると、
家にある観葉植物たちも、ペットの様に、水を人に頼っている環境ゆえに、
家猫の様に、ご主人に水を下さいと、
私達が気がつかないだけで、ワンワン泣いているのかもしれない。
改めて、植物も立派に生きてペットなんだな。と、
再確認した相談だった。
END