●封印された息子

 

 

 


このお話は、一昨日のブログ(●子供の霊が出る家)の続きです。

 

 

 

従って、一昨日のブログ(https://ameblo.jp/hirosu/entry-12308652484.html

 

 

を先にお読みください。


そしてから下をお読み下さい。
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[前回までのあらすじ

 


ある時、そのレッドモンドのある住宅に住んで居る方から、

 

家に子供の霊が出るという相談が、霊能者の所に持ち込まれました。

 

ハリソンさんご夫妻には子供が3人居て豪華な2階建てと広い庭の家に住んで居ました。

 

その家族の中の一番小さい6歳になる女の子が、

 

時々この家で、小さな男の子の幽霊を目撃して泣くというのである。

 

他の子供達は、幽霊を見るという事は無いらしいのだが、

 

女の子は嘘を言う様な子では無く、ご両親は心配して相談してきたのである。

 

娘さんが幽霊を目撃するのは、決まって2ヵ所だという。

 

■1つは二階の窓の外だという。子供の幽霊が窓から家の中を見ているというのだ。

 

そこは特にベランダとか、外に人が立てる様な場所は無く、

 

その窓に顔が写るとしたら、幽霊以外には考えられない場所だという。

 

■もう1つは、庭である。庭で娘さんが遊んでいると、

 

子供の幽霊が現れる時があるというのだ。しかも、時々子供の幽霊だけでなく、

 

お年寄りの幽霊も2人くらい子供の幽霊と一緒に出る事もあるという。

 

また、娘さんいわく、本当は、彼女がこの家に来た当時から見えていたらしいが、

 

当時は幼くて、話す事が出来なかったという。どうやら幽霊は最近現れたのではなく、

 

ハリソンさん夫妻がこの家に住み始めた当初から居た感じだった。

 

この家は新築だったのである。つまり、幽霊屋敷でも無ければ、

 

前の住人が関係している問題でも無かった。家を建てる前は荒地だったというのだ。

 

やや坂になっている敷地に、2階建ての大きな家がハリソンさんの家だった。

 

家の前には、緑の芝生が広がる大きな庭があった。

 

娘さんに出て来てもらい、庭のどの辺で霊を見たのか教えてもらう事になった。

 

娘さんによると、庭で霊を見かける時は、特に決まった場所は無いという。

 

ある時は、木の陰だったり、ある時は家の窓際だったり、

 

ある時は芝生の真ん中だったりしたという。お年寄りの幽霊を目撃する時は決まって、

 

男の霊も居る時で、男の子の霊の側か後ろに居るという。

 

最後に、2階のどの窓で男の子の顔を見たのか聞いてみた。

 

すると「あの窓」と娘さんが指を差す先は、やや出窓になっている2階の窓で、

 

この庭に面している部屋の窓だった。確かに、出窓の前には立てる様な場所は無い。

 

もし、二階の部屋から窓から男の子の顔が見てたのなら、それはやはり霊だろう。

 

霊能者の方いわく、この庭には、霊らしきものは見えないという。

 

私達は、家の中に案内されて、さっそく霊が窓から覗くという部屋に行ってみる事にした。

 

そこは夫婦の寝室だった。娘さんがまだ小さい頃は、この部屋にベビーベッドがあり、

 

その頃から窓から男の子が覗いていたという。

 

霊能者の方は、ゆっくりと霊が現れるという窓に近づいて、そこで目をつぶった。

 

窓に現われるという男の子の霊の残留思念をキャッチすべく心を集中させている様だった。

 

5、6分経っただろうか。霊能者の方が、首をかしげながら、窓から離れたので、

 

「何か分かりましたか?」と私が通訳を通じて聞いてみた。

 

すると、霊能者の方が、「入れない。って言うんだよねぇ。」と言う。

 

「家に入れないっていう意味ですかね。」と聞くと「多分、そうだと思う。」と霊能者。

 

どうやら、本当に娘さんが目撃した男の子の霊は存在した様だった。

 

しかし、霊能者の方も、ちょっと不思議そうな表情で訳が分からないという感じだった。

 

「入れない。」という霊。これは、逆に言えば、

 

霊は、この家にどうしても入りたいという事なのか?

 

いったいこの家に、何があるというのだ!そして、なぜ、霊は入れないのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霊能者によるファーストコンタクトは、

 

 

結局この「入れない。」という声しか分からなかったという。

 

 

なぜ、霊は入れないのか。

 

 

そして霊は、なぜ、そんな事を言うのか。

 

 

私は勿論の事、霊能者の方も分からないという。

 

 

 

 


そこで、少し時間を於いてから、

 

 

2回目のコンタクトを試みる事になった。

 

 

私を含めて全員が部屋の外に一度出た。

 

 

そして、霊能者の方だけが寝室に入り、窓際に椅子を置くと、

 

 

その上に座り、冥想を始めた。

 

 

これは霊能者に限らず、普通の方でも冥想状態を作る事が出来れば、

 

 

霊感が普通よりも研ぎ澄まされるという。

 

 

 


5・6分過ぎたが、霊能者の方はただ目をつぶっているだけで動かない。

 

 

どうやら今回は霊能者の方も、苦戦している様に見えた。

 

 

 


しかし、私達に出来る事は、ただ部屋の外から見守る事しか出来ない。

 

 

 

 

 

更に5分位経った時、

 

 

 

霊能者の方が目を開けて立ち上がった。

 

 

 


何か分かったのだろうか。

 

 

 


私達は期待しながら、霊能者の方の第一声に注目して待った。

 

 

 

 

 

 

しかし残念ながら、霊能者の方が言ったのは、

 

 

「やっぱり、入れない。という事しか聞き取れないわ。」というものだった。

 

 

 

 


ただ、霊能者の方はこの後、変な事を言ったのである。

 

 

「霊視している時、何回か私、お母さんの事を思い浮かべるのよね。」と言う。

 

 

 

「えっ、それは、貴方のお母さんの事ですか?」

 

 


「そう。」

 

 

 


私は一瞬、「こんな時にお母さんの事を思い浮かべるなんて・・・」

 

 

この事件とは関係が無いのに。と思ったのだが、

 

 

 


それがそうでも無かったのである。

 

 

むしろ、この不思議な現象の謎を解くものだったのです。

 

 

 


霊能者の方いわく、

 

 

霊視や冥想中に、自分が思ったり、欲しがったり、したい事が浮かんだ時、

 

 

それは、霊が思っていたり、欲しがっていたり、したい事だったりする事と

 

 

同じだったりする事があるのだという。

 

 

 


つまり、霊の気持ちと同調する時があるというのだ。

 

 

例えば、そこに悲しんで泣いている霊がいるとしよう。

 

 

すると、その霊の声は聞こえなくても、霊感の強い人は、

 

 

霊が泣いている気持ちを受け取って、悲しくも無いのにそこに行くと泣いてしまう。

 

 

そんな状態が、霊の気持ちと同調したと言える。

 

 

食べ物で例をあげるともっと、もっと分かりやすいかもしれない。

 

 

側に亡くなったお父さんの霊が来たとします。

 

 

すると、貴方はなぜか急にビールが飲みたくなりました。

 

 

でも、よく考えると貴方はビールなど飲む習慣は普段から無いのです。

 

 

これは、お父さんの霊の気持ちと同調して、

 

 

一瞬、まるで貴方がビールを飲みたいかの様に思ったのです。

 

 

 


だから、霊能者の方が、「霊視している時、何回か私、お母さんの事を思い浮かべる」

 

 

という事は、イコール男の子の霊も、

 

 

お母さんの事を思い浮かべてやって来ているというのです。

 

 

 

 

 

ハリソン家で、お母さんと呼べるのは、奥さんしかいません。

 

 

となると、男の子の霊は、奥さんに会いに来ていたと考えられました。

 

 

そう言えば、男の子の霊が窓から覗くという部屋も、奥さんが寝ている寝室です。

 

 

 


そこで、霊能者の方は奥さんに、ずばり聞いてみました。

 

 

「失礼ですが、もしかして、

 

 小さい男の子を亡くされていませんか?」

 

 

 

 


すると、ハリソン夫人は泣き出してしまいました。

 

 

 

それは明らかに「YES」という反応に他なりませんでした。

 

 

 

 

その後、場所を移して奥さんは、こんな身の上を話してくれたのです。

 

 


それは今から約8年前。

 

 

奥さんは別の方と、結婚生活を送っていました。

 

 

二人の間には、4歳になる息子さんもいて、とても幸せだったといいます。

 

 

息子はとても甘えん坊で、可愛い子だったといいます。

 

 

ところが、その息子さんが突然病気で亡くなってしまったのです。

 

 

奥さんは一人息子を亡くしたショックから立ち直れず、

 

 

やがて、夫との仲も悪くなり、離婚したのです。

 

 

ご両親は、大そう心配されました。

 

 

娘は子供の死から立ち直れないんじゃないか。と。

 

 

そんな時、実業家のハリソンさん(今のご主人)に出会ったのでした。

 

 

当時ハリソンさんも離婚していて、二人の幼い男の子の子育てに奮闘していました。

 

 

ご両親は、こんなチャンスはもう無いと思い、

 

 

「もう亡くなった息子の事は忘れなさい。

 

 そして、相手の子供を自分の子供だと思って、

 

 自分の子供はあの二人だけだと思って、子育てしなさい。」とアドバイスして、

 

 

沢山あった亡くなった息子さんの写真は、全て実家に置いていく様にさせたのです。

 

 

そう。亡き息子さんの写真やら存在すらも全て実家に封印したのです。

 

 

その後、ハリソンさんと無事結婚。

 

 

二人の間に産まれたのが、今回霊を目撃した娘さんだったという訳です。

 

 

 

 

霊能者の方は、その話をじっと聞いていて、

 

 

こんな事を奥さんに言ったのです。

 

 


亡くなったお子さんのお名前は、なんて言うの?」

 

 


ケヴィンです。」と奥さん。

 

 

 

 


「そう。

 

 

 でもね。

 

 

 ケヴィンちゃんは、今でも貴方の息子さんなんですよ。

 

 

 

 幼い子供が亡くなるとね。甘えん坊だった子は特にね。

 

 

 お母さんに会いたく、会いたくて・・・

 


 そんな時、亡くなったお祖父さんやお祖母さんが、時々ね。

 

 

 今のお母さんの所に、ケヴィンを連れて来てくれる事があるの。

 

 


 でもね。

 

 

 

 そんな時、お母さんが、もうケヴィンの事を無いものとして考えていて、

 

 

 部屋にケヴィンの写真すら飾って無い。

 

 

 自分の子供は、ハリソンさんとの間の3人だけ。

 

 

 部屋にある写真は、その子達だけしかない。

 


 そんな時、ケヴィンはとっても悲しい気持ちになるの。

 

 

 

 

 ママは、もうボクのママじゃないの?って。

 

 

 

 

 

 


 分かるでしょ。

 

 

 だから、ケヴィンちゃんの写真も部屋に飾ってあげて。

 

 

 そして時々、声をかけてあげて欲しいの。

 


 「お早う。ケヴィン。」って。

 

 

 たったそれだけで、、  たったそれだけでいいの。

 

 

 

 ケヴィンちゃんは、とても幸せになると思うわ。」


 

 

 

 

 

その後、ハリソン夫人は、夫や子供達にも今までの事を全て話し、

 

 

寝室に、3人の子供達の他に、ケヴィンちゃんの写真も飾る様になった。

 

 

それ以後、娘さんが窓や庭で男の霊を見かける事も無くなったという。

 

 

 

 

 

 

最後に、

 

 


私達は、帰りの車中で、こんな事を話していた。

 

 


「なんで、子供が3人いたのに、

 

 一番下の女の子だけにしか見えなかったんだろうね。」と通訳の方。

 


すると、霊能者の方が、


「分からないけど、

 

 血かもしれないね。」

 

 

 

「血?」

 

 

 

「そう。


 だってケヴィンは、女の子の

 

 
 お兄ちゃんだもん。」

 

END