●素人除霊
このお話は、昨日のブログ(●掛け時計が3時に止まる部屋)の続きです。
従って、昨日のブログ(https://ameblo.jp/hirosu/entry-12299910169.html)
を先にお読みください。
そしてから下をお読み下さい。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
[前回までのあらすじ]
ある日オフィスに、こんな電話がありました。
約1年前に入居した部屋で、奇怪な事が起きるというのです。
場所を聞くと、防衛庁の近くにある○○レジデンスというビルの一室だという。
地図を調べると、地下鉄の乃木坂駅が一番近そうに見えた。
彼女は、そこで働いている女子社員で、普段から気になっていて、
オフィスに独りになったり、残業になった時が怖い時があるという。
こういう話は、電話相談よりも現場に実際に行って診るのが一番なのだが、
どこまで電話でお役に立てるか、一応話を聞いてみる事になった。
彼女の話によると、オフィスに怪奇現象が起き始めたのは、約半年前からだという。
半年前に、社長が知り合いからもらったという壁掛けの時計をオフィスに付けた。
壁に時計を付けてから、一週間位は順調に問題無く動いていたという。
ところが、時計を付けてから1週間が経った時だった。月曜日に出勤すると、
時計が止まっているのである。なぜか3時丁度に針が指したまま止まっているのである。
電池を新しいものに取り換えると、掛け時計はまた動き始めた。
ところが、翌朝、彼女が出勤すると、時計は、3時きっかりにまた止まっていたのである。
どうやら、真夜中の3時に時計が止まった様だった。一抹の不気味さを感じていたという。
なぜなら、不良品である時計が、途中で止まるのは分かる気がします。
でも、毎回、3時丁度で止まるって、おかしくないですか?3回も。
その後しばらく、オフィスには、3時で止まった時計がそのまま飾られていたという。
ところが、ある日、社員の一人が、やっぱり時計があるといいよね。と言って、
自宅にあって使っていなかった壁掛けの時計を、持って来たのである。
電池も彼が用意してきたもので、新品だという。
こうして、新しく設置した時計が再びオフィスで動き始めた。
しかし、翌朝、彼女が出勤すると、時計は、また3時きっかりに止まっていたのである。
それを見た時一瞬、鳥肌が立ったという。
そう言えば、以前、この部屋に泊まった社員がいたのだが、
その時、夜中に変な声が聞こえた事があったという。
このオフィス、なんかおかしいんじゃない。と思った。という。そんな電話相談だった。
電話を頂いたのが、今日の様な、8月の真夏日だった。
「真夜中に、同僚の方が、そのオフィスに泊まった時、
変な声を聞いたという事だが、そういう話は1回のみだったという事だし、
寝ぼけていたり、ビルの外からの声だったり、
隣の部屋の声という事も考えられませんか? 」と私が言うと、
「夜中、トイレしに起きた時に聞いたそうです。」と彼女。
「なるほど、どんな感じの声だったか、聞きましたか?」と尋ねると、
「ちょっと変わります。」と言って、電話口が男性に変わった。
こういう例は珍しい。
彼女は同僚の男性と一緒に電話してきていたのだ。
現在、夜9時という事を考えると、
下衆な勘繰りでは無いが、多分恋人同士だろう。
「すいません。お電話変わりました。」と代わった男性。
「貴方が、オフィスに泊まった時に、声を聞いたんですか?」
「はい。」
「なるほど、それはどんな感じの声でしたか?
どんな状況で、聞いたのでしょうか?」
「私が残業をしていて、終電に乗れなかった時があったんです。
そこで、オフィスで寝る事になりまして、
食事を外でとってから、11時頃寝ました。
それからふと3時頃、目が覚めてトイレに行った時でした。
小さな声がしたんです。」
「なるほど、それはどんな声でしたか?
女性でしたか?それとも男性の声でしたか?」
「何となくですが、女性の声だったと思います。
弱々しい声で、[○○さい。]という感じに聞こえました。」
「その声を聞いた時、怖かったですか?」
「いや、なんか隣の部屋から聞こえたのかなぁ。と思ってまた寝てしまいました。」
彼の話を聞いていて、
やはり、彼が聞いたという声も、時計が止まったのと何かしら関係がある様に思えた。
なにしろ、彼がその声を聞いたというのも、真夜中の3時なのだ。
「どう思いますか?先生?」と彼が尋ねてきた。
私は彼に、率直な感想を、言ってみた。
それは、そのオフィスのどこかに霊がいる感じがします。という事。
ただ、霊が居るとしても、その霊はそんな悪い霊では無いだろうという事。
なぜなら、そのオフィスに彼女が1年前から働いているのに、
異変は、約半年前に壁掛け時計をかけてから起き始めたという事や、
そのオフィスで、病気や怪我など、特に悪い事が起きていない事。
霊の声を聞いた彼にも、悪い事が起きていないし、
また、霊の声を聞いた彼も、それを怖いと感じていない。
そんな事を考えると、悪い霊とは思えないと、彼に言った。
「なんとか除霊する事は出来ませんか?」と彼。
悪い霊では無いとしても、
霊が居るとなると、気持ちが悪いし、
これから先オフィスに泊まる事も出来ないと言う。
「除霊してみますか?」と言うと、
「はい、是非お願いします。」と彼。
何か勘違いしている様なので、彼に言った。
「いや、さすがに電話先からの除霊は無理です。
除霊はその場にいかないと出来ません。」
「というと・・」
「貴方と、彼女とで除霊してみますか?」
「ええっっ。。。。」っと言って、電話の向こうで、
「俺たちだけで除霊するかって。。。」と聞こえる。
「ええっ、嫌だ、怖い。」という彼女の声も・・・・
しばらくして、彼が、
「そんな素人のぼく達だけで、除霊なんて出来るんですか?」と聞いて来た。
「はい。多分。」と私。
「ええっ、多分ですかぁ」
私も、その場を見た訳では無いので、絶対とは言えない。
だから、多分としか言えないのだ。
というより、悪い事が起きるなら、多分もう起きているはずだし、
真夜中に声を聞いた彼にも、何も起きていない訳だから・・・多分大丈夫だろう。
「ホントに、ホントに、大丈夫ですか?」と彼。
「多分、大丈夫です。」と私。
多分というのは、絶対ではないが、
私の心の中では、絶対に近かった。
そうでなければ、素人の彼らに除霊を勧めたりはしない。
それは、真夜中に彼が聞いたという声の話からも何となく感じたのである。
彼は「弱々しい声で、[○○さい。]という感じに聞こえました。」と言った。
大体、悪い霊なら、元気ではっきり相手に聞こえる様に忠告する言葉で言うのが普通だし、
言葉も、「○○さい。」というのは、
「○○してください。」とか、「ごめんなさい。」など、
最後に「○○さい」と付く言葉に、そんな悪い感じはしない。
悪い霊なら、「死ね」とか、「来るな」とか命令系の言葉になる事が多いのだ。
やがて、決心したのか、
二人で除霊してみます。という事になった。
素人除霊の始まりである。
最終話は、明日のブログに続く。