ルートヴィヒ:ヴィスコンティ | クラシック音楽三昧

クラシック音楽三昧

音楽は無くても暮らせるけど素敵だよネ 笑

~特別寄稿 hirostar氏が偏愛する映画から~

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「ルートヴィッヒ」:ルキノヴィスコンティ(1972)

バイエルン王ルートヴィヒ2世;ヘルムート・バーガー
オーストリア皇后エリーザベト;ロミー・シュナイダー
リヒャルト・ワーグナー;トレヴァー・ハワード
コジマ・フォン・ビューロー;シルヴァーナ・マンガーノ
ホフマン神父;ゲルト・フレーベ
デュルクハイム大佐;ヘルムート・グリーム
オットー1世;ジョン・モルダー・ブラウン
リヒャルト・ホルニヒ;マルク・ポレル
ゾフィー;ソーニャ・ペドローヴァ
ホルシュタイン伯爵;ウンベルト・オルシーニ
グッデン教授;ハインツ・モーグ
ハンス・フォン・ビューロー:マーク・バーンズ


リアルhirostar氏の趣向は幅広いということらしい(笑)

「若き頃、時間があった頃に古今東西の名作映画なるものを貪るように観ていた時期がありましてね」

そう語る氏

「在りし日は映画ファンと公言していた時がありましたが、今は映画は封印しミーハーな流行りものを観るLevelに私の中で格下げしました(笑)
最近観た映画といえば007スカイフォール
まさにミーハーでしょ(笑)
ハマるので好奇心旺盛な私には危険なのですよ(笑)」

という氏であった

「古き良き黄金期ハリウッドを経由しヨーロッパ映画をルイマル、ゴダール、トリフォーなどフランス映画を経由しイタリア映画を観ている時にヴィスコンティに出会いましたね
同時代にはバゾリーニ、フェリーニとか綺羅星のような映画監督の巨匠がイタリアにはいましたよね」


「今回、ワーグナーMy鑑賞チクルスにちなんだものとしてヴィスコンティのルートヴィッヒはオススメな映画かもと思いましてね(笑)

最高クラスの不朽の名作映画なので映画ファンの人であれば観ている作品であるのかもしれません」


「さてヴィスコンティ家は1200年代から続くイタリアの名門貴族
むろんヴィスコンティ家は、クラシック音楽に大変関わっているのですよ

母方の祖父ルイジはオペラ大作曲家ヴェルディの親友であり、本人も作曲家
また19世紀のスカラ座はミラノ市から補助金で運営されており1897年に打ち切られるのです
そこでルキーノの祖父グイドヴィスコンティ公爵がOpera愛好家を率いてスカラ座の支援をしたのです
そのとき若きトスカニーニを監督に任命したのです
ここから当時社交場であったスカラ座を改革し全盛期を築いたのは周知のことです

また、ルキノ自身、映画、演劇、演出家であり若き頃パリでジャンコクトー、ブレヒト、ココシャネルと交流もしています
マリアカラスのセンセーションなるを引き起こした1955年スカラ座の伝説的「椿姫」の演出と演技指導しています
この時指揮者は若きカルロスマリアジュリーニ
ジュリーニは初日のことを語っている
「私の心臓は一瞬鼓動を止めた。眼前にくりひろげられた美に私は圧倒された。あんな感動的な洗練された装置は観た事はない。…」と(笑)
ここからマリアカラスはスターダムにのぼっていったのでありますよね

また1954年引退しイタリアに戻ったトスカニーニは、ピッコラスカラ座のこけら落としファルスタッフの演出をルキノに頼みたいと思い「美しい声の持主で興味深いアーティストでたいへん結構」とカラスについてトスカニーニは述べているのですね

本物志向のリアリズムを追求した原点主義演出だったそうで、映画も同じかもしれませんね
弟子に有名な演出家でフランコゼッフィレッリがいます
彼も豪華リアリズムですものね」


「リアリズムは映画でも同じで、各映画の装飾品から家具まで全て当時の本物を使用していると言われています
なので、それらを観るだけでも素晴らしいものです
それは彼が本物の名門貴族出身でもあったこともあり、審美眼と本物の調度品がなにかも分かっていたのですよね
なので今みても色褪せないわけです」


「私はヴィスコンティの映画を観て映画にも、文学並みの深さがあるのだと感銘し、最大リスペクトの監督の一人です

彼の映画は、主に栄光を極めていく人が没落していくような内容が多いかもしれません
その過程における人間が抉り出すように描写されており
局面や極限での人間の本質を描いている監督と勝手に感じています

私は、彼の全ての映画を観ており、市販のDVDは全てコレクトしています
それだけ素晴らしいと感じ尊敬しているからです

一般的に有名な映画は、「郵便配達は二度ベルを鳴らす」「ベニスに死す」かもしれませんが
個人的には「ルートヴィッヒ」を最高と感じています

ナチスの「地獄に堕ちた勇者ども」
トーマスマンの「ベニスに死す」
ワーグナー関係の「ルートヴィヒ」
の三つはドイツ三部作といわれ
どれも屈指の凄まじい名作であります」

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「この4代バイエルン王ルートヴィッヒ2世(1845-1886)
「狂王」とも呼ばれてますね
彼がいなければワーグナーの作品とバイロイト祝祭劇場は生まれなかったでしょうね
いわゆるパトロンでありつつ熱狂的ワグネリアン

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無論当時の状況も知っておいた方がよいですよね
1866年ドイツ統一前のプロイセン
統一を進めかつ力をつけ、オーストリアと戦争をし、バイエルンは中立の立場にいたいがためオーストリアを支援するのですね
結果オーストリアは戦争に負け、バイエルンは多額の賠償金を負うなかでの苦悩が王としてあるわけです
その後1871年フランスナポレオン3世に勝利し、ビスマルクによる統一ドイツ帝国ができるのは周知のとおりです

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唯一心許せる女性 「シシィ」ことエリザベート皇紀
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ぞのような中での国の執政を度外視してでの、築城事業とワーグナーへの傾倒
有名なノイシュヴァンシュタイン城も彼の築城になります

自分のバイエルンの国がどうなるかわからない状況で幼くして王位をついたルートヴィッヒ
そのような社会情勢だから判断がおかしくなったのかも知れないと勝手に考えますね

そして最後は国は傾き破綻し、狂気し排除されそうな矢先に湖で水死体で発見される
殺害、変死説などと言われ謎の死と言われていますよね

まさにワーグナーの「神々の黄昏」を地でいくわけであるのです

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この映画は栄光から退廃そして狂気からその死に至る過程にまで、グロくリアルな人間が描かれてます
特種な環境で生まれたルートヴィッヒ2世
若い頃はかなりの美声年でイケメンでもあったそうです
ゲルマン神話に心酔し、男色美青年好きで女性が嫌いであったとも言われています

無論、尊大なワーグナーも登場してきます
王様以上に生意気で華奢なワーグナー
私生活もワイルドそのもの(笑)
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観た後に凄い作品を観たというなにか深いもの心に残ります

Opera並に長い映画ですけれども(笑)


個人的には早くのBlu-ray化を望みたいです


ワーグナーやクラシック音楽ファンにはオススメの映画と感じましてね」


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~オマケ ローエングリン:ルートヴィッヒに寄せて