フォーエバー・フレンズ -378ページ目

1、野球少年の夢(6)

港南学院高校の屋上で、ベンチを独り占めするかのように寝転び、タバコを吸っている生徒がいた。

そしてその生徒は青空にむけて、プワーっとタバコの煙を吐き出した。

軽くパーマのあたった髪をがばっと上にあげて、睨みつけるような眼差し、190cm近い背丈、そして太い腕には血管が纏わりつき、学生服の上着のファスナー閉じるのも大変な程、胸は筋肉が詰まっていた。

彼は2年F組の生徒で遠山真と言い、この学校で一番恐れられていた。

そして真は今日も喧嘩騒ぎを起こした。

入学したての不良生徒が大胆にも、真に挑戦状を叩きつけてきたのだ。

そしてその1年生の不良生徒は昼休みに屋上真を呼び出したが、なんと真は1時間目の授業中にその生徒の教室へ殴りこみをかけたのだ。

真はバン!と教室の扉を開いて「前山って奴は何処だ?」と言い教室中を見回した。

真に挑戦状をたたきつけた不良生徒は「なんだよ!昼休みって言っただろ!」と言って立ち上がった。

すると真はその生徒に歩み寄り、一瞬の間にその生徒の顔面目掛けて回し蹴りを食らわした。

その瞬間1年の不良生徒はあっという間に、その場に倒れてしまった。

真は「俺、昼休みは昼寝って決めてるんだよ」と言って、1年生の教室を後にした。

教室内の生徒と先生は呆然としていた。

一瞬の出来事で何が起こったのか、さっぱり理解が出来なかった。



その日の昼休み、真はいつものように屋上のベンチで寝ていた。

すると文麿が真の傍へやってきて「真、お願いがあるんだ」と言った。

真は眠そうに目を少しだけ開けながら「なんだよ文麿・・・」と言うと、文麿は「シメたい奴がいるんだよ」と真に訴えた。

「だれだよ」

「徳永って奴でさあ編入してきやがったんだよ」

真は「面倒くせえな。そんなもんお前でなんとかしろよ」と言って、また目を閉じた。

すると文麿は「頼むよ真!お願いだ!中学からの仲だろ!」と大きな声を出した。

真は面倒くさそうに起き上がって「わかった、わかった、そいつを放課後ココに連れて来い」と言った。



放課後、陽一が教科書をスポーツバックに詰め込んでいると、文麿が歩み寄ってきて「おい、徳永!ちょっとツラ貸せ」と少し顎を突き出して言ってきた

「なんだよ」

すると文麿は大きな声で「いいから来いつってんだろ!」と声を張り上げた。

その瞬間クラスメイトの表情が一瞬に凍りついた。

陽一は「わかったよ・・・」と言って、文麿について行った。

二人が去った後も教室の中は、シーンと水を打ったように静かだっだ。

すると由香子が「大変!きっと遠山君にやられるよ!恵!どうしよう!」と言ってパニックになった。

恵が「と、とりあえず先生呼んでこようよ」と言うと、由香子は「そ、そうしようか」と言って何度もうなずき、そして二人は職員室へと駆けていった。



真は屋上のベンチに寝転び、文麿を待っていた。

本当は面倒臭いというのが本音だが、中学時代のツレの文麿の頼みなら仕方が無いと言ったところだ。

それが彼にとって良いところでもあり、悪いところでもある。

彼は本当は騒ぎを起こす事が面倒でやりたくないのだが、挑戦してくる者がいたり、周囲の人間に対する義理のようなものがあったりして、結局は彼をそうさせるのだ。

そんな事で騒ぎばかり起こし、いつまにか真は、学校に目を付けられる存在となった。

「文麿おせえなあ・・・」真は体を起こしながら、大きく伸びをした。

すると屋上の入り口の扉が、ギーっと音をたてて開き、文麿がやってきた。

「真!連れてきたぞ!」と文麿が言うと「あのバカやっと来たか」と言って真は立ち上がった。

そして文麿に連れられるように、陽一が屋上にやってくると真は「お前が徳永か?」と言って、ゆっくりと陽一に歩み寄ってきた。

だが真は陽一の顔を見て、思わず立ち止まってしまった。

「うん?お前は・・・」真は右眉だけを上げて「ひょっとしてお前・・・陽一か?」と言った。

陽一も驚いて「真なのか?」と言った。

あまりにもの驚きで二人はしばらく言葉が出なかった。

やがて真は「陽一!久し振りじゃねえか!」と声を張り上げて、陽一の手を力強く握り締めた。

「何だよ!真じゃないか!」大きな男二人はまるで少年のようにその場飛び跳ねた。





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