4、本当の気持ち(2)
野球部の練習中、仁科先生は真を部室へ呼び出し、横須賀女子高からの苦情の内容を説明した。
「そうか・・・」真は寂しげにそう言った。
「学校からは何も強制しないわ。二人でゆっくり考えてみたら」
真は部室の天井を見つめて「最初からこうなるんじゃないかと思っていた・・・」とポツリと言った。
その日のバイトが終了し、茜と恵はコロンブスの休憩室で話し込んでいた。
「そんな事で退学?」
「そうなんだ・・・。入学時に誓約書を書かされたの覚えてるよ。私は校則を守りますって」
「ひどい!そんなのあんまりじゃん!」
「仕方ないよ。規則だから・・・今日から二週間の停学だから、その間に決めろだって・・・」茜も真と同様に寂しげだった
「で・・・茜どうするの?」
「うん・・・もし真が私の事を好きでいてくれるんだったら、学校を辞める」
「茜!」
「やっぱり無理だよ。真を捨てられない・・・」
その時茜の携帯の着信音が鳴った。
「真だ」
2週間ぶりの真からの連絡だった。
真は茜を汐入駅前の喫茶店に呼び出した。
茜が店内に入ると、真が一番奥の席に座っているのを見つけた。
「真!」2週間ぶりにみる真の姿に、茜は胸を躍らせた。
そして茜は席に座ると、ミルクティーを注文した。
「どうしたの?ずっと連絡待ってたんだよ」
「ああ、わりい。今日茜に話しがあってさあ・・・」
「何?」
「あのさあ、別れねえか・・・」
「えっ!」
「茜、別れようぜ」
「どうして?ママの事?ママだったらなんとかするよ!」
「いや、違うんだ。俺、他に女がいるんだ」
茜は真の言葉に呆然とした。
「実はさ、今女が3人もいてさあ。茜の相手する暇がなくなったんだよ。やっぱさ、俺甲子園行っただろ。モテちゃってさあ。ははは」
その瞬間茜は真にパンと音を立てて平手打ちを食らわした。
そして店内はシーンと静まった。
茜は目に涙をためながら「最低!」と言って、席を立った。
茜は店を出ると、泣きながら汐入駅前を歩いていた。
そしてイワサキスポーツの前を通りかかった時、陽一が店から出てきて、そのままドンとぶつかってしまった。
「茜ちゃん!」陽一は泣いている茜を見て驚いた。
「陽一君・・・」
そして二人はそのまま横須賀港へとやってきた。
「なんで泣いてたんだよ?」
「真と別れた・・・」
「そうなのか・・・何でだ?」
「私以外に彼女がいるんだって・・・」
「嘘だろ?」
「さっき真がそう言ってた・・・。でもこれで問題が全部片付いた。私真と別れなかったら、退学にされるとこだったんだ。なんかスッキリしたよ」茜はそういって笑った。
そして「ねえ陽一君、野球選手ってやっぱりモテるの?」と聞いてきた。
「全然。告白されたこともないよ」
「そう?陽一君、鈍感なだけじゃないの?でも恵を裏切ったりしないでね・・・」
陽一は今ひとつピンとこなかった。
真がそのような事をする人間には、どうしても思えなかったのだ。
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