フォーエバー・フレンズ -226ページ目

18、ドラフト会議(2)

品川 ビジネスビル 東京都  - 写真素材
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時同じくして陽一は、品川区にあるロサンゼルス・ドジャースの日本事務所を訪ねた。

事務所に着くと、陽一は応接室へと通された。

そして応接室には、ドジャースグッズが沢山並べられ、往年の名選手の写真が沢山飾られてあった。

まさに陽一にとって夢の世界であった。

ドジャーブルーのユニフォームをこの自分が着るのである。

しばらくすると、シマノマネージャーが応接室に入ってきた。

サングラスに髭を生やしたシマノは、日本人には無い雰囲気を出していた。

「そうか、ドジャースに来てくれるのか」

「はい、ドジャースのユニフォームを着て、頑張りたいと思います」

「うん、しかし君は甲子園のスターと言えども、ルーキーには変わりないし、アメリカ国民も君の活躍を知らない。はっきり言って全くのゼロからのスタートとなる。覚悟は出来ているか?」

「はい、自分もゼロから始めるつもりで、今日ここに来ました」

「わかった・・・徳永君、頑張ってくれ。期待しているよ」

「はい、頑張ります」

そう言うと、二人は固く握手を交わした。

陽一は、遂にロサンゼルス・ドジャースの入団を決意したのだ。



11月に入ったが、阪神タイガースの社内は、今だに誰を指名するか結論が出なかった。

阪神タイガースの若林部長が、社内で完全に孤立をしながらも、真を指名すると言って一歩も引き下がらなかったからだ。

スカウト部としては、若林部長の鶴の一声で遠山指名に決まった。

しかし、他の部所の取締役は、それを許さなかった。

球団と言うものは、強さだけを求めるものではない。

人気というものも必要なのだ。

つまり人気による、業績というものである

甲子園のスター陽一を指名すれば、莫大なスポンサー収入が入り、財務系の人間としてはとても助かる話である。

そして広報部としてもやりやすい。

営業部としてもやりやすい。

グッズも売れるし、年間シートも売れるであろう。

しかし、真を入団させたところで、陽一ほどの経済効果が望めないのだ。

真の指名は、あくまでゲーム戦略上の話であり、広報部や財務部にすれば、どうしても甲子園のスーパースター陽一を獲得したいのだ。

阪神タイガースの緊急役員会は大いに揺れていた

「若林さん、遠山でどれだけの集客が見込めるんですか?どれだけのスポンサー収入が見込めるんですか?」財務部長はいきなり若林部長に食って掛かった。

しかし若林部長は一歩も引かない。

「あんた方は、一年の業績だけしか考えとらん。強さというものが、人気の基礎なんや。金本もおらんくなった今、チームとしては、彼の後任の4番打者が必要なんや。今のウチのチームには、これから10年20年と働いてくれる4番打者が必要なんや」

「その4番が、遠山なんですか?」広報部長も食って掛かった。

「その通り」

「なんで遠山なんて選手を1位指名でとるんですか?5位や6位じゃあかんのですか?それでも十分獲得できるでしょう」営業部長も食ってかかった。

「未来の看板選手を1位でとるのは当然や」

「もし失敗に終わったらどうするんですか?」

「その時は私が責任をとる」

そんな言い合いをしながら、刻々と時間は過ぎていった

すると一名のスタッフが、会議室の中へ慌てふためいた表情で入ってきた。

「大変です!徳永はプロ入りをしません!メジャーに行きます」

「なんやと!」

「プロ志望届けを出さないそうです」

会議室は突然の一報に騒然となった。



会議室はひたすら沈黙が続いた。

時刻は夜中の一時。

その時、いままでずっと沈黙を守っていた球団社長が遂に口を開いた。

「どうや?ここは若林君にかけて見ようやなないか」

まさしく鶴の一声であった。

「社長!」若林部長は、嬉しさのあまりに、席を立ち上がった。

「若林君の選手を見る目は確かや。若林君がそこまで言うとるんやから、失敗はないやろ」

若林部長は「おおきに!」と言って、球団社長に深く頭を下げた。

こうして阪神タイガースは真を指名する事となった。

それと時同じくして、日ハムやソフトバンクも陽一の指名を諦めた。



翌日のスポーツ新聞各紙は、一面に陽一を載せた。



『徳永 ドジャース入り決定』

『18歳のチャレンジ! ドジャース徳永』

『若きメジャーリーガー 頑張れ陽一』



そしてその事は、朝からテレビのニュースでも大々的に取り上げられた。