フォーエバー・フレンズ -223ページ目

18、ドラフト会議(5)

そして肝心の真は・・・。


実は、屋上で昼寝をしていたのだ。

すると文麿があわてて屋上へとやってきた。

「真!大変だ!」

真は眠そうに、目をうっすらと開けた。

そして面倒臭そうに「なんだよ」と言った。

「ドラフトの結果だよ!見てねえのか?」

「あん?5位指名なんて放送ではやらねえだろ?」真はそう言うと再び目を閉じた。

「違うよ!一位指名だよ!阪神が真を一位で指名したんだよ!」

その言葉を聞いて、真は大きく目を見開いて飛び起きた。

「なんだと!」

「今報道陣が、学校に集まって来てるんだよ。偉い騒ぎだ!」

「本当かよ・・・」

「やったな真!」

真は立ち上がって「茜!やったぞ!」と秋の空に向かって吠えた。

すると今度は陽一が屋上へとやってきた。

「真!」

「陽一!」

「真、おめでとう」陽一が笑顔でそう言うと、真は陽一に右手を差し出してきた。

二人はガッチリと握手を交わした。

そして陽一は、阪神タイガースの帽子を真に被せた。

「イワサキスポーツの店長に言って、持ってきてもらった。俺からのプレゼントだよ」

真は珍しく涙ぐんだ。

そして「陽一・・・ありがとうな・・・」と言った。

「泣くなよ。大変なのはこれからだよ」

「ありがとう・・・やっぱり陽一の言った事は正しかったな」

「だろ?」陽一はニコリと笑った。


それから真は陽一と文麿に連れられ、校庭に姿を見せると、野球部員から祝福の胴上げを受けた。

その様子はテレビで全国に放映された。

秋空の下、阪神タイガースの帽子を被った真の大きな体は、港南学院高校の校庭で宙に舞った。

真は少年のように泣いていた。


茜・・・

これでやっと楽させてやれる。

ありがとうな。

茜、本当にありがとう。


家でテレビを見ていた茜も、泣いていた。

茜は、遂にプロ野球選手の奥様になるのだ。

今までの苦労が、やっと報われたのだ。


数日後、川崎にある決して綺麗とは言えない、真の住むアパートに阪神の球団社長が幹部を引き連れて訪れた。

その球団社長の訪問を、真と茜と理子の3人で迎えた。

「それじゃあ入団してくれるという方向でええんやな?」

「お願いします!」

3人はそう言って深々と球団社長に頭を下げた。

今時珍しい若者達の姿に、球団社長を微笑ましい気持ちになった。

「それでやな。これが契約書や。ちょっと目を通してくれるか?」

すると球団幹部が、契約書を真の目の前に置いた。

「契約金もちゃんと書いてる。異論がなかったら、判子押して欲しいんや」

真と茜と理子の3人は、覗き込むようにその入団契約書を見つめた。

見慣れない漢字を、じっと見つめた。

契約書に書いてあった金額・・・。


『金 七千萬円也』


なんと契約金7千万円!


3人は驚きのあまり、目を大きく見開いた。

そしてお互いに見つめあった。

「やったぜ!みたか茜!これで子供育てられるだろ!」

「真・・・多すぎるよ・・・」茜は思わず涙を流した。

「おにい!私もまた塾に行きたい!」

「ああ!いくらでも行け!理子!今まで苦労掛けた分、なんでもやらせてやるぞ!」


まさにミラクルだった。

一時は、子供を育てるために退学を決意した真。

しかし茜が、妊婦の体をおして今日まで一生懸命に働いてくれたおかげで、退学を免れていた。

そして真は、遂にプロ野球の道へと、駒を進める事ができたのだ。

茜にとってこの一年は、激動の一年であった。

真との交際を咎められ、スカジョを中退。

それが原因で、母親と絶縁。

そして、妊娠・・・。

どんどん堕ちていった、元お嬢様の茜・・・。

しかし茜は真とは別れず、そして子供も堕さず一生懸命に生き抜いた。

そして春からプロ野球選手の奥様になる。


そしてもうすぐお母さんとなる。