フォーエバー・フレンズ -113ページ目

12、春ー3

ジュリの母は暗い部屋で、一人ソファーに座っていた。

すると玄関先から「ただいま・・・」と声が聞こえた。

その声に気付き振り返ると、するとそこにはジュリが立っていた。

「おかえり・・・」

するとジュリは、「お母さん、黙って家を出てすみませんでした」と言って母に深く頭を下げた。

「うん・・・わかった。もういい」母はそう言って小さくうなずいた。

「それと私、天使やってみます。私、天使になります」

「あんた・・・」

「私、馬鹿だから、これからもお母さんに迷惑かけるかもしれない。でも、頑張って天使をやってみる。お母さんのような立派な天使にはなれないかもしれないけど、頑張って天使をやってみる」

「天使は甘くないわよ」

「わかってる。私、いろいろな魂と真正面に向き合える天使になりたい」

「そう・・・わかった。頑張りなさい」

「それとお母さん、これお土産」そう言うと、ジュリは小さな箱を母に手渡した。

「なにこれ?」そう言いながら母がその箱を開けると、中にはワッフルが入っていた。

「これ、あんたが作った・・・」

「そう、『天使のワッフル』。これからもたまには作ってあげるよ」

そんなジュリの言葉に、母は苦笑いをした。

するとその時、ジュリの左手に、白い腕時計がはめられている事に気がついた。

「あんたそれ!」

「Gショック!白だからいいでしょ?」ジュリはそう言うと、恭介からもらったそのGショックの時計を母に見せて、ニコリと微笑んだ。




そして、いよいよ天使学校の卒業式の日がやってきた。

天使講堂には、これから天使になろうとする卒業生達が、沢山イスに座っていた。

みんな、みんな、これからの天使達である。

そしてその中に、白い天使服に身を包んだレナとジュリの姿があった。


学長が前に立つと、卒業生一人一人の名前を読み上げていった。

「ジュリ天使」

学長にそう呼ばれると、ジュリは「はい」と言って、前へ出て行った。

すると学長は、美しく光り輝く天使の輪を、ジュリの頭の上に乗せた。

「レナ天使」

「はい」

ジュリと同じようにレナにも天使の輪が乗せられた。

そして二人は、笑顔でお互いの頭上に光る天使の輪を見つめあった。


卒業式が終わると、レナとジュリはまっさきに校庭へと走り出し、そして「ヒャッホー!」と叫んで、頭上に光る天使の輪を、青空にむけて高く飛ばした。


人間界で多くの事を学んだ二人。

天使とは一体なんなのか?

それは人間界で人生を全うした魂を、天使の世界へと導いていく。

それが天使である。

しかしそれは簡単そうに見えて、決してそうではない。

なぜならそれぞれの魂に悩みがあり、考えがあり、そして伝えたい言葉があるからだ。

魂は機械ではない。

それぞれに個性があるからこそ、それぞれに違った動きをする。

そしてそれを迎えに行く天使は生き物である。

生き物であるからこそ、泣いたり笑ったり、そしてたまには間違いを犯したりもする。

上手く行かない時だってある。

でも決して忘れてはいけない事。

それは、天使は空ばかり見ていてはいけないという事だった。


ジュリ。

レナ。

卒業おめでとう。

そしてこれからも立派な天使で。