2023 オランダ・ベルギー アムステルダム② | 動的平衡

動的平衡

同情するならアメをくれ!

 

24:30

たぶんこれくらいの時間に目が覚めるだろうと思って服のまま寝た。

窓の外からは

プシュー。

カンカンカン。

…。

プシュー。

カンカンカン。

 

プシューはトラムのブレーキの音。

たぶん圧縮空気でブレーキシリンダを動かしブレーキをかける制動装置。

そしてカンカンカンは発車を知らせる鐘の音。

真下にトラムの停留所があるので、ほぼ鳴りっ放し。

「まだ寝るなよ」とでも言っているよう。

 

ベンチコートにニット帽で夜のお散歩開始。

疎雨の石畳を歩きます。

【あれだけ賑やかだった王宮前のダム広場もひっそり】

【路地裏はさらに寂しく】

【駅前も閑散とし】

【人だかりはマックだけ】

【トラムも午前1時で営業終了。おやすみなさい】

 

アムステルダム 2日目。

【7:00 モーニングブッフェ】

 

さて。

短い滞在だったアムステルダム。

名残り惜しいので少し朝の散歩。

チェックアウトは11時なので、シャワーを浴び荷物を預けて

先にチェックアウトを完了。

じっくり地図を見る。

鳥のように俯瞰的に全体像を把握し

蟻のように虫瞰的に地を這います。

 

『アムステルダムの朝は早い』…とか。

むかしネスカフェのCMになかったっけ。

夜は遅くまで賑やかだったけど

朝はそうでもない感じ。

【王宮】

【アムステルダム新教会(右側の建物)】

【マダムタッソーアムステルダム(蝋人形館】

 

9:24

ムント塔。

ムントは貨幣。

名前の由来は、その昔フランスがアムステルダムを侵略したときに

この塔の中でお金を造ったことから(らしい)。

 

9:30

レンブラント広場

【お子ちゃまたちがアイススケートしてる】

 

冷たい雨が降ったり止んだり。

時に強風。

折りたたみの傘を買う。

5分もしない内に最初の強風で反り返り使い物にならなくなる。

 

10:12

アムステルダム国立美術館に到着。

(ここもアムステルダム中央駅と同じくペトルス・カイペルスの設計)

オランダ絵画の黄金時代フェルメールやハルス、ロイスダールの傑作ぞろい。

が、観たいのはただ一つ、レンブラントの『夜警』。

363cm x 437cmを生で観たい。

光と影の魔術、キアロスクーロ(明暗を強調する技法)が観たい、

(カラヴァッジョは何年か前にマルタで観た)

一番興味深いのは市民警備隊隊長のバニング・コックとその左側の赤い服の男の間にいる

腰に鶏の爪をぶら下げた少女。

少女とも女神とも幽霊とも亡き妻サスキアとも言われてます。

 

*他によく聞くエピソード。

 レンブラントはこの絵を完成させるために多くの出資者(パトロン)を募りました。

 出資側の立場では出資した画料が同じである以上

 自分の顔が公平にはっきりと描かれていなければ困ります。

 ところがキアロスクーロのやりすぎで顔がほとんど見えない人もいますw
 これが集団肖像画の難しさ。
 パトロンはキレまくり、奥さんは赤ちゃんを残して亡くなり

 乳母とお手伝いさんに同時に手を出し裁判沙汰に。

 そんな折、オランダ経済も下降線を辿り、仕事も激減。

 不幸の連鎖が止まりません。

 結局、レンブラントは家のローンが払えず破産。

 『夜警』で描かれた光の魔術が

 レンブラントの人生に影を落としたとみると皮肉なものです。

 

さてここで不吉な予感。

美術館正面にブリューゲルの『バベルの塔』の垂れ幕。

そして1階のエントランスホールは長蛇の列。

 

「チケット売り場へ急げ!」と売り場の場所を訊ねる。

「外に出て階段の下だ」

「行列の先頭だ」

「地下一階だ」

人によって言うことがまちまちで埒が明かない。

制服を着た職員に「チケット売り場はどこ?」と訊くと。

「Online only!」

マジか。

コロナ以降、人数制限でオンラインでの事前購入が必須になったのか

たまたまブリューゲルの特別展と重なって混雑緩和のためにそうなったのか。

結論として入館できず。

 

諦めて美術館を出ると運河沿いに《TICKET》の看板を掲げたお店。

絶対違うと思いつつも「美術館のチケット売ってますか?」と訊いてみた。

笑わせるつもりはなかったのだが、店の中にいた女の人が大爆笑。

オランダ語で聞き取れなかったが

たぶん「あなた、ここは運河クルーズのボートのチケット売り場よw」とか言っていた。

そうでしょう、ごもっとも。

 

諦めて荷物を取りにホテルへ。

【いくつも運河を越え】

【ムント塔を過ぎると】

【虹が出ていた】

【荷物を受け取りアムステルダム中央駅へ】

 

仕事終了。

帰ります。

お疲れさま。

良い週末を。

また来週!