王政編で中央第一憲兵のサネスを拷問したハンジさん(と兵長)

その後、牢に閉じ込めたサネスから、ハンジさんに投げかけられた言葉

 

「こういう役には順番がある。役を降りても、誰かがすぐに代わりを演じ始める。」

 

このセリフが、ある種の呪いとしてハンジさんに付きまとうことになります。

ハンジさんは、イェーガー派による裏切りを知ったシーンと、その後、追っ手を逃れて、巨大樹の森に身を潜めているときに、サネスのセリフを思い出します。

そして、地鳴らしの足止めに飛び立つシーンでも「順番」が来たという…

 

ただし私は、ハンジさんはサネスの「役割」を引き継いだことによって「順番」が来たわけではないと考えています。

確かに「順番」はあると思います。

巨大樹の森でのハンジさんのセリフ

 

「自分では正しいことをやってきたつもりでも、時代が変われば牢屋の中」

 

これは、特別な使命など負っていない一般人にとっても不変の事実なんじゃないかな?

さすがに普通に生きてて、犯罪者あつかいされるほどの変化は感じないと思いますが、昔は良しとされていたのに、現在ではタブーになってることなんてたくさんありますよね?

 

では、サネスの「役割」とは何か?

それは、体制を守るために、無力な民衆を抹殺すること。

端的な言葉だと「弾圧者」かな?

 

ハンジさんは、それに該当することを行ったかというと、民衆を殺害したりはしていない。

しかし、王政編では、王政が隠していた事実を公開することで民衆の支持を得た一方、イェーガー派が台頭した時期には、エレン(民衆にとっての英雄)を兵団が拘束している事実を隠蔽していた。

この事実は、ハンジさんというキャラにとっては苦しい判断だったのでしょう。

民衆の弾圧に手を染めてはいないけれど、自分は体制を守るために情報を隠蔽する側に回ったことになる。

一方、当初のイェーガー派は、情報を公開することで、民衆の支持を得ようとした。

これは、かつて自分が頼った方法と同じ。

それによって、民衆の支持がイェーガー派に移るのであれば、自分が滅びるべき側に変わったと感じるかもしれない。

めっちゃ、しんどいねー

 

もしも、自分のやっていることが「正義」だと信じられていたら、悩まないでしょうが、当時の状況は、何が正解か分からない。

平和的な解決を望んでいるけれど、世界はパラディ島を敵視しており、すでにレベリオで民間人も大量に殺害している。

そして、首謀者のジークもエレンも信用できないのに、失う訳にはいかない。

*私は鬼なんで、エレンを喰って始祖の力を奪うことを画策しますが、ハンジ・ゾエというキャラは、良い意味で、非情な判断ができないキャラとして描かれていると考えています。意見の異なる人々とも共生することを求めるキャラ。

 

 

 

 

 

 

地鳴らしを止めた後の、具体的な方針が見えないままでも、皆殺しを止めようとしたハンジさんは、サネスの役割を引き継ぐことは全力で拒否した人物だと思います。

島外の民衆を見捨てなかった。

 

ただ、責任のある立場として「順番」が回ってくるのは避けられなかった。

調査兵団が夢見た呆れるほどおめでたい世界を実現するために、次の生者に意味を託す「順番」が来たのだと思う。

だから、ハンジさんが引き受けた「役割」は、エルヴィンたち歴代の調査兵団団長および調査兵の役割で、それを全うする「順番」をやり切ったのだと思っています。