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米国人の心鷲掴み!

フィールド・オブ・ドリームス


アイオワで農場を営むレイ(ケヴィン・コスナー)は誰もいない夕暮れのトウモロコシ畑で囁くような声を聞く。「それを作れば彼はやってくる」…「それ」とは野球場だと直感したレイ。夢に生きた父に反発し、堅実に生きてきたレイだったが、その声と妻アニー(エイミー・マディガン)の後押しで、畑の面積を削減して野球場を作る。野球場のために借金が膨らむ一方で収穫は減り、野球場の維持が困難になったある夜、野球場に一人の青年が現れる。



広大な畑の中、照明の灯りにぽっかり浮かび上がる野球のフィールド。フェンスは背丈以上のあるトウモロコシ。そこから出てくるオールドスタイルのユニフォームに身を包んだ選手たち。野球愛溢れる映像美が印象的な名作を久しぶりに再見。


フィールドに現れるのは実際にあった八百長事件によりMLBを永久追放された往年の名選手たち…の幽霊。野球を取り上げられた彼らを癒やせ、と。ゾロゾロ現れた幽霊をサクッと受け入れるレイとその家族。スピリチュアル家系なんだろうか。



野球選手ジョー・ジャクソン(レイ・リオッタ)から作家テレンス・マン(ジェームズ・アール・ジョーンズ)へとタスクが変わる。謎の声の正体はレイの心の声。レイの中で昇華できてない思い。タスクはそのステップになってるんですね。


信じ、そして行動する。引きずっているものがあるなら放置するな、が本作のメッセージですかね。ラスト、レイの想いが遂げられます。想いを投げて受ける。ただその繰り返し。言葉なんかいらない、映画史上最高に泣けるキャッチボールです。



米国人の心を体現した主人公はコスナー。この頃のコスナーは何をやってもカッコいいですね。キャラの共通点は信じた道を突き進む一本気。家族と衝突することも多い役ですが、本作では家族が熱烈サポーターでしたね。


そのサポート役の奥様マディガンさん。70歳を過ぎた今も年齢相応の役で活躍されています。娘ちゃん役のギャビー・ホフマンも「カモン カモン」で主人公の元妻やったり。二人ともすごい。終盤には名優バート・ランカスターも登場。渋い。



このロケで実際にトウモロコシ畑の中にフィールドが作られました。本作がヒットしてから聖地巡礼の観光客が後を絶たず、公開から30年以上経つ今も維持され、フィールドの隣にはMLBの企画に準拠したスタジアムも建設されました。


実はこのスタジアム、MLB公式戦を開催するために造られたもの。2021年、2022年にMLB公式戦「フィールド・オブ・ドリームス・ゲーム」が行われました。2022年のレッズ対カブス戦ではカブスの一員として鈴木誠也選手も出場しています。


物語のラストを彷彿させる後日談で、多くの米国人が本作を愛していることが窺えますよね。そんなことから「実話」だと思われている方も多いようですが、これ、フィクションです。ホントなら素敵な話ですけどね。


DATA

監督・脚本:フィル・アルデン・ロビンソン/原作:ウィリアム・パトリック・キンセラ

出演:ケヴィン・コスナー/エイミー・マディガン/ギャビー・ホフマン/ティモシー・バスフィールド/レイ・リオッタ/フランク・ホエーリー/ドワイヤー・ブラウン/ジェームズ・アール・ジョーンズ/バート・ランカスター


hiroでした。

*画像は「映画.com」サイト等より引用。

*トップ画は日本版ポスター。米国版よりカッコよい!



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