#12_20240722_109シネマズGP

大将軍から継承したもの

(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会

キングダム 大将軍の帰還


秦領馬陽に侵攻した趙軍を一掃するため王騎(大沢たかお)を総大将とした秦軍が出陣する。緒戦、飛信隊隊長となった信(山﨑賢人)の活躍で敵将の一人を討ち意気上がる秦軍だったが、その夜、野営地を敵総大将龐ケン(吉川晃司)に襲撃される。その圧倒的な破壊力は信と羌カイ(清野菜名)の共闘ですら歯が立たなかった。


(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会


「夢」を語った「キングダム」。人との「絆」を紡いだ「遥かなる大地へ」。「運命の炎」での「成功体験」を経て、本作の「継承」へ。底辺から上を目指す主人公信の成長をベースに大陸を舞台にした壮大な物語が一応の区切りをむかえる。


無理難題を課し、「童信」と子ども扱いした呼び名で呼ぶ王騎。残業NGで負荷がかかると文句たらたら、下の名で呼ぶと馴れ馴れしいとそっぽを向く今の人からパワハラ上司と言われそう。でも、王騎のリーダシップには個人的に憧れる。



(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会


王騎の真骨頂が本作終盤。部下に難題を課した後。「安心してください。みなさんの後ろにはこの王騎がいますよ」…現代風に意訳すると「やれるだけやりなさい。全責任はこの王騎が取りますよ」みたいな。この一言が将兵に信頼と安心をもたらす。


確かな実績から生まれる信頼の正しい使い方。信頼があるから失敗を恐れずトライでき、そこに活路が拓ける。伸びる集団のリーダーの一類型なんだと思う。夢は目標、絆は仲間、成功は自信。この3つが揃ってこそ成長があるんだと。


(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会


夢、絆、成功。一作ずつ描いた構成はうまい。原作の原泰久が製作に加わった成果。そしてラストになる本作。アニメを観て知っていても予想通り涙したラスト。未完成の信に王騎が信頼し託したもの、鉾と共に継承したものの大きさにまた涙。


スタッフ、キャストはシリーズ共通。初登場は新木優子草刈正雄。共に回想なので本作後は気にしなくてよい。前作ラストに登場の吉川は本作のキーパーソン。佐藤浩市玉木宏小栗旬は本エピソード後に本領発揮するキャラ。もったいない。


(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会


吉沢亮橋本環奈を差し置いての本作の顔は王騎を演じた大沢。原作キャラの凄さだけじゃない。大将軍を演じ切った力量に拍手。王騎対龐ケンの超重量級バトルに力を入れた分、山﨑、清野の異次元アクションが影を潜めたのは惜しい。


続編を望む声もある。原作ではこの後、呂不韋の秦宮廷内の暗躍が始まる。実はそこに必要な人物がすでに割愛されている。つまり、最初からここまでの予定なのかと。王騎=大沢のスケールに匹敵するキャラも俳優もいない。ここで終わるのが潔し。


続きが気になる方はアニメ、コミックで。実写版のここまで原作のまだ3分の1もいってないのでご覚悟を。


(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会


 DATA

監督:佐藤信介/脚本:黒岩勉/原作・脚本:原泰久/音楽:やまだ豊

出演:山﨑賢人/吉沢亮/橋本環奈/清野菜名/新木優子/岡山天音/三浦貴大/濱津隆之/真壁刀義/佳久創/田中美央/要潤/高橋光臣/山田裕貴/山本耕史/萩原利久/佐久間由衣/桜井日菜子/村川絵梨/長澤まさみ/平山祐介/高嶋政宏/加藤雅也/玉木宏/吉川晃司/小栗旬/佐藤浩市/草刈正雄/大沢たかお



hiroでした。



キングダム←1作目は夢


遥かなる大地へ←2作目は仲間との絆


運命の炎←3作目は成功体験。跳とでも。