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事実上の一作目
ミッション:インポッシブル3
特別諜報機関IMFの訓練教官ハント(トム・クルーズ)は身元を隠して看護師のジュリア(ミシェル・モナハン)と結婚。そのパーティーの夜、IMFのエージェントがハントに接触。彼の教え子リジー(ケリー・ラッセル)がミッションに失敗し拉致されたことを伝え、リジー救出ミッションのリーダーになるよう要請する。
7作に及ぶ長期シリーズ(2024年現在)の第3作を再見。最新作を見てから振り返ると、本作が最新作までの4作につながるストーリー…つまり事実上の1作目となっていることがわかる。そうなると1と2の扱いは? なんてことは置いておこう。
アクション重視の前作がやや単調だったのに対し、本作はストーリーが濃厚。きっと誰かが裏切ってるというハラハラは一作目を踏襲。ラスボス、ディヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)の非情さと粘着度はシリーズ屈指だ。
教え子を失い、妻をも巻き込んでしまう。スパイにふつうの暮らしはできないのか。ハント個人を掘り下げた本作はずいぶんとしんどい物語。ハントにも弱点があり、それが人間味も引き出す。これが以降のシリーズのベースになっていくわけだ。
アクション封印かといえば、トムがやるんだからそんなこと全然なし。橋上の爆撃戦はさすがのJ.J.エイブラムス。得意の引き画のリアリティ。後半の上海決戦は、水上都市のロケーションの活かし方が一級品(これを模倣した作品も多いかと)。
トムはあいかわず体を張ってのアクション。ジュリア役モナハンがシリーズ初登場。最初から絶体絶命のピンチ、かつ看護師とは思えないポテンシャル発揮。もう一人、我らがベンジー・ダン、サイモン・ペッグもここで初登場。バリバリの内勤。
安心のレギュラーヴィング・クレイムス。ジョナサン・リース=マイヤー、マギーQという主役準主役級の豪華チーム。ローレンス・フィッシュバーン、ビリー・クラダップとIMFオフィスも華やか。亡くなられたホフマンは最強ヴィラン。
絶対無敵のはずのハントが散々。かなり際どいところまで追い込まれる。最後まで明かされなかったラビットフッドの正体。モヤモヤしてるところにJJが「今回はドラマがメインなんで、どうでもいいのよ、それ」とでもほくそ笑んでそう。
久しぶりの再見で改めて思う。サスペンスもドラマもアクションも、どれをとっても平均以上。シリーズの土台もしっかり作り上げた。…これってシリーズ1の名作なのかも。次の新作で終わるらしい。少しずつでも復習しておこう。
DATA
監督・脚本:J.J.エイブラムス/脚本:アレックス・カーツマン/ロベルト・オーチー/製作:トム・クルーズ/ポーラ・ワグナー/音楽:マイケル・ジアッキーノ
出演:トム・クルーズ/ミシェル・モナハン/フィリップ・シーモア・ホフマン/ヴィング・レイムス/マギーQ/ジョナサン・リース=マイヤー/ビリー・クラダップ/ケリー・ラッセル/エディ・マーサン/サイモン・ペッグ/ローレンス・フィッシュバーン
hiroでした。