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雰囲気監督がちゃんと撮ったコメディ

(C)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・

映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会

とんかつDJアゲ太郎


とんかつ屋しぶかつ三代目(修行中)の揚太郎(北村匠海)はなんとなく店を継ぐのだろうとのんびりと過ごしていた。ある夜、クラブから出前の注文が入りDJのオイリー(伊勢谷友介)と出会い、憧れのショップ店員苑子(山本舞香)も店の常連だと知る。オイリーのプレイに魅せられた揚太郎はDJになる決意をする。


(C)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・

映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会


コミック→アニメ→実写映画となった本作を初見。原作はギャグ漫画ということもアニメ化されていることも知らなかった。ふざけながら刺さる話なのかと思いきや、完全なるコメディ。時間も長くないので、なんとなく見るにはサイコー(←褒め言葉)


話は至ってシンプル。無気力な若者が夢を持ち、失敗し、それでも諦めずに立ち上がる。稼業のとんかつも蔑ろにしないし、ヒロインとも接近を果たす。嫌なヤツは出てこないし、最後はマルっと収まるので、安心して楽しめる。


(C)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・

映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会


チープ感漂うセットや衣装。言葉や展開ではなく、見せて笑わすパターン。嫌味なく誰でも楽しい。簡単にバズったり、デビューしたり…その辺はコメディってことで。DJととんかつ、もっとこってり絡めてほしかったとは思う。


若者カルチャーを描く二宮健が監督・脚本。本作、クラブDJこそイメージが合致するが、ベースはコメディでチープ。代表作「チワワちゃん」「真夜中乙女戦争」みたいなドライさも陰湿さも皆無。こういう映画も撮るんだ、と素直に驚愕。


(C)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・

映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会


一般的に「猫」の熱唱イメージが強い北村。音楽番組で快活な姿を見せるが、映画では「君の膵臓をたべたい」のシャイな印象が今も鮮烈。コメディ作出演は俳優的に正解。役幅は広いほどいい。「猫⁉︎」と叫んだのはネタか(笑)


加藤諒栗原類前原滉浅香航大のチームワークが良い。特に栗原はさすがのカッコ良さ。ヒロイン舞香は間違いなく可愛い。「元祖日本ファンク」ブラザートムが音楽封印のとんかつ屋の大将。伊勢谷友介伊藤健太郎…どうしてんだろ。


(C)2020イーピャオ・小山ゆうじろう/集英社・

映画「とんかつDJアゲ太郎」製作委員会


気楽に観れる、こういうジャンルの作品は必要。二宮健がこれを撮ったというので観たのだが、型にはめてちゃんと撮れててテキトー感はない。コメディだってちゃんと撮ってないと駄作になる。器用なんだろうね。


たぶん原作はもっととんかつにフォーカスされているのかと。とんかつとDJは同じ…そのネタの数々をもっと入れ込めたら、作品の質も評価ももっと上がってたかも。もうちょっとで傑作だった。



 DATA

監督・脚本:二宮健/原作:イーピャオ/小山ゆうじろう

出演:北村匠海/山本舞香/加藤諒/栗原類/前原滉/浅香航大/伊藤健太郎/伊勢谷友介/フワちゃん/池間夏海/片岡礼子/ブラザートム



hiroでした。



真夜中乙女戦争←同じ監督とは思えない


君の膵臓をたべたい←ピュアな北村匠海


十二人の死にたい子どもたち←にも北村出演