5本目(2月1日鑑賞)

それでは話し合いましょう
十二人の死にたい子どもたち

監督:堤幸彦/脚本:倉持裕/音楽:小林うてな/原作:冲方丁
出演:高杉真宙/渕野右登/古川琴音/橋本環奈/新田真剣佑/黒島結奈/杉咲花/萩原利久/北村匠海/坂東龍汰/吉川愛/竹内愛紗

廃病院に続々と集まる十代の少年少女。彼らはあるサイトで集まった自殺志願の12人。一室で行われるのは集団安楽死。定刻になり全員が集まったが部屋にはなぜか一人の死体が横たわっていた。全部で13人。この死体は誰なのか。


「死んだほうがマシじゃ〜ん」「もぉ〜死にてぇよ」…人は案外簡単に自殺願望を口にする。軽い気持ちで放つ言葉が継続し、口にもできなくなった先にあるのが自殺なのかな。

多くの人がその都度防衛本能で問題解決している。解決できないときに決断してしまうのだろう。解決できないなら助けてもらおう。

家族や友達がダメなら、同じ境遇の他人でもいい。手を差し伸べたり共感する人は必ずいる。その人を探すのを諦めないで。独りにならないで。


自殺志願の若者を集めた本作。0番を放り込んでサスペンスタッチに展開。コナンばりの名推理が観る者を引き込む。ただし、テーマはあくまで「死」と「命」だ。

独りになり、周囲の声に耳を貸さず、自殺という結論に自己完結する。他人が信じられず独りになる。誰も肯定も否定もしない。自分の肯定しかない。

独りのルーティンにはまった者が集まれば、他人を認識する。認識すれば影響を受ける。本作、設定から嫌な感じはしなかった。きっといい方向に向かうのだろう、と。


出演者は並べる順で雰囲気が伝わるので作中で設定の番号順に並べた。以下同じ。

高杉真宙は可愛いので出演作は結構観てる。作中一瞬気になる表情をした渕野右登だが気のせいか。古川琴音はコスといい広島弁といい強烈キャラ。最近ウラ演技が多い橋本環奈は久々のオモテ演技。

新田真剣佑は新境地で今後の展開にも注目。黒島結奈の器用さは今後も重宝されるはず。杉咲花は既視感のあるキャラで安定。萩原利久はキャラの成長が表現できてて好印象。

北村匠海も花ちゃん同様の既視感。かき回し役坂東龍汰が抜群の存在感。ギャル役吉川愛はホントは可愛いのではないか。竹内愛紗は光を感じて今後も期待。


重いけど大切なテーマをエンタメに転化した原作者と監督に敬意。「密室ゲーム」的コピーを打った宣伝隊のみ的外れ。コピーだけで拒絶しないで観てほしい。ラストは予想外にさわやか。

それぞれ事情はあるし、無責任に「もっと頑張れ」とも言えない。だけど、独りで決めないでほしい。もっといろんな声に耳を傾けてほしい。きっと誰かが助けてくれてる。きっと誰かの助けにもなれる。

自殺してもメッセージも伝わらないし、何も変わらない。悔しいじゃん、生きようよ。



hiroでした。



脚本8 映像7 音響7 配役8 音楽8
38/50