HDD鑑賞
監督:ジョン・マッデン
脚本:トム・ストッパード/マーク・ノーマン
音楽:スティーブン・ウォーベック
出演:グウィネス・パルトロー/ジョセフ・ファインズ/ジェフリー・ラッシュ/コリン・ファース/トム・ウィルキンソン/ベン・アフレック/ジュディ・デンチ/ジョー・ロバーツ/ルパート・エヴェレット
疫病の蔓延するロンドン。人が集まる芝居小屋は次々閉鎖され、資金の潤沢なカーテン座と資金難のローズ座のみが、娯楽好きの大衆の拠り所となっていた。スランプから抜け出せない若き日のシェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)は、借金に追われるローズ座の主ヘンズロー(ジェフリー・ラッシュ)の下で書きかけの新作の準備にかかる。
資産家の娘ヴァイオラ(グウィネス・パルトロー)は、大の演劇好き。当時、女性が芝居の舞台に立つことは禁じられているのを知りながら、憧れていたシェイクスピアの新作の主役オーディションに男装で参加。シェイクスピアの目にとまり、男優トマス・ケントとして出演することになる。
トマスの正体が、以前芝居小屋で見かけた美しいヴァイオラだと知ったシェイクスピアの恋心は燃え上がるが、彼女は、女王エリザベス1世(ジュディ・デンチ)が認めたウェセックス卿(コリン・ファース)との婚約が決まっていた。
スランプのシェイクスピア。
これは、あの名作の誕生秘話。
米アカデミー作品賞獲得作品。ずいぶん前に観たはず。よく覚えてなかったので、改めて録画したのを鑑賞。そしたら、まったく覚えていなかったという。
マッデン監督。先日「マリーゴールド・ホテルで会いましょう
」をレビューした。共通点は、舞台の町が活気に満ち、躍動感に溢れていること。今作、疫病が蔓延しているにもかかわらず、ロンドンの大衆が実にイキイキ。元気なことは気分がいい。だけど、感染拡大は心配。マッデン監督、舞台の演出もされているもよう。今作、まさに独壇場。
シェイクスピアを演じたファインズはセクシー。男のhiroがみてもほれぼれ。その後、パッとした活躍がないのは哀しい。
パルトローの今あるイメージは「アイアンマン」。仕事ができて、愛するトニーを公私でサポート。今作では資産家の令嬢。こんなに可愛かったのか。芝居をするための男装姿。これに萌えた。今作で米アカデミー主演女優賞。
そして、ジュディさんとトム・ウィルキンソンさんは、「マリーゴールド…」でも共演。そのジュディさんも、今作で米アカデミー助演女優賞を獲得。
ヘンズローには「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのジェフリー・ラッシュ。「英国王のスピーチ」でコンビを組んだコリン・ファースも一緒。今作のコリンさんを観て、実写版「ルパン三世 カリオストロの城」のカリオストロ侯爵をやらせたい、と思った。
看板役者で登場のベン・アフレックも忘れちゃいけない。あ。ルパン三世は彼ね。
ネタを少々拾っておく。エリザベス1世はもちろん実在。そのほか、同時代の劇作家クリストファー・マーロー(ルパート・エヴェレット)やジョン・ウェブスター(ジョー・ロバーツ)も実名で登場。マーローは酒場で謎の死を遂げる。ウェブスターは残虐な嗜好の持ち主である。それらは実際のエピソードを絡めた創作である。ヒロイン・ヴァイオラの名前も、シェイクスピアの喜劇「十二夜」の登場人物。兄の名をかたり男装する女性である。その「十二夜」は、この物語のラストにエリザベス1世がシェイクスピアに執筆を命じる作品として登場。
シェイクスピア・ファンにはうれしい小ネタの博覧会。無知なhiroはウィキペディアからの引用に頼った。
いつまでも大女優であってほしいデンチさん。
永久デンチ(電池)、なんちって(笑)
シェイクスピアって敷居が高い。しかし、今作のシェイクスピアは躍動。恋して、芝居を書いて、喧嘩して。シェイクスピアの青春がほとばしる。
それを後押しする芝居バカの面々。 女性役の少年、役をほしがる酒場の人々、看板役者、スポンサーも口を出し出し、薬屋の役をゲット。ライバル劇場もピンチを救う。みんな芝居が大好き。実に気持ちいい。極めつけの芝居バカは女王陛下。最後の「大岡裁き」はお見事!
芝居を、娯楽を愛する大衆によって支えられた役者たち。その時代「シェイクスピア」は、敷居の高いものではなく、大衆みんなの共有するものだった。
時代の熱が伝わる、大衆娯楽エンターテイメントの傑作。
東日本大震災後、上映自粛や計画停電で、「映画のない日々」があった、ことを思い出した。
都内の映画館がようやく稼働し、「英国王のスピーチ
」が観れたとき、涙が出るほどうれしかった、ことを思い出した。
人は娯楽が必要だと確信。少なくともhiroには映画が必要だ。
娯楽万歳! 映画バンザイ!
hiroでした。