DVD鑑賞


シニア版ラブアク(笑)
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マリーゴールド・ホテルで会いましょう


監督:ジョン・マッデン

脚本:オル・パーカー

原作:デブラ・モガー

音楽:トーマス・ニューマン

出演:ジュディ・デンチ/ビル・ナイ/ぺネロープ・ウィルトン/セリア・イムリー/ロナルド・ピックアップ/トム・ウィルキンソン/マギー・スミス/デーヴ・パテール


永年連れ添った夫に先立たれたイヴリン(ジュディ・デンチ)は、夫に寄りかかりすぎた人生を振り返り、一人立ちを決意する。

年金生活に入ったダグラス(ビル・ナイ)とジーン(ぺネロープ・ウィルトン)夫妻は、周囲から突然年寄り扱いをされるようになったことに戸惑いを覚える。

初老になるまで離婚を繰り返してきたマッジ(セリア・イムリー)と独身を通してきたノーマン(ロナルド・ピックアップ)は、新しい出会いを求めている。

判事を引退したグレアム(トム・ウィルキンソン)は、余生をかつて過ごした地で送りたいと思い立つ。

股関節の手術を受けるミュリエル(マギー・スミス)は、順番待ちのロンドンの病院から早期に手術が受けられるインドの病院に転院する。

彼らがインドで滞在するのは、父の遺産を継いだソニー(デーヴ・パテール)が経営するマリーゴールド・ホテル。優雅なリゾートライフを謳うキャッチコピーとは裏腹に、リニューアルも完了していないホテルではあったが、宿泊客のために奔走するソニーの情熱だけは本物だった。

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インドのホテルで同居することになった7人。


恋に落ちたシェイクスピア」のマッデン監督が描く、お年寄りたちの「ラブ・アクチュアリー 」。ポスターからして、そんな感じ。

それぞれ歳をとったが故のお悩みを抱えている、ロンドンではまったく接点のなかった男女7人。異国の地で、人生初めての仕事についたり、わだかまりを抱えたまま音信不通になっている人物と再開したり、異人種への偏見を少しずつ解消していったり、夫婦間の溝に気付いて別れを決意したりと、少しずつ人生の新たな一歩を踏み出していく。

そんな彼らを後押しするのが、インドの人たち純真さであり、ライフ・スタイルであり。そうしたインドへの恩返しなのだろう。一生懸命に「おもてなし」するソニーに対し、彼らは恋やホテル経営にまで、助けの手を差し伸べる。


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007の「M」の退職後?

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こちらはホグワーツ魔法学校の

マクゴナガル先生の老後。


一応のメイン・アクトレスは、007シリーズのMでおなじみのジュディさん。仕事に就いたことで、夫以外の人に初めて必要とされた喜びを好演。

夫婦でインドへやってきた夫を演じるのはビルさん。本家「ラブ・アクチュアリー」ではロック・シンガー。コメディ封印の今作、かっこいい(笑)

最初は、仲間ともインドとも馴染まなかったミュリエルを演じるのは、「ハリー・ポッター」シリーズのマギー・スミス。ホテルのメイドと交流することで、やがて…。

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デーヴはイギリス出身。

「スラムドッグ$ミリオネア」のあの子です。


過剰にインド観光を奨励するわけでもない。ただ、人と人とのつながりを、やさしく、緩やかなタッチで描いている。時間の経過がいい。インドのスピードであり、お年寄りのスピード。人の人生、簡単にリセットできるわけじゃない。残りの人生を見つめ直すのに適当な時間が、作品の中で経過する。


派手さはないけど、華麗な経歴と確かな実力を持つ俳優陣の共演。「考えさせられる」ほど重くない。気軽に、ちょっと空いた時間に、肩の力を抜いて観たい良作です。



hiroでした。