2009・マレーシア ★★★☆☆(3.9)
監督:ヤスミン・アフマド
出演:パラメ・チョン マヘシュ・ジュガル・キショール モハマド・シャフィー・ナスウィップ
51歳の若さで亡くなったマレーシアのヤスミン・アフマド監督による青春群像劇。
学内で催される芸能コンテストに参加する、生徒たちそれぞれが抱える悩みや嫉妬や
恋愛模様などを鮮明に映し出す。
パメラ・チョン、マヘシュ・ジュガル・キショールらフレッシュな役者を起用。
マレーシアならではの魅力と輝きに満ちた物語に注目。(シネマトゥデイより抜粋)
何だか見ておかねばならない1本だと、小耳に挟んだので、見ましたです。
マレーシアのとある高校で、音楽コンクール「タレンタイム」(才能の時間=タレントタイム)が開催される。
高校で、ピアノの上手な女子学生ムルーは、耳の聞こえないマヘシュと恋に落ち、二胡を演奏する
優等生カーホウは、成績優秀で歌もギターも上手な転入生ハフィズを嫌っていたのだが…。
タレンタイムに出場する為に、校内の予選を受ける生徒達。 色々な出し物の中から選ばれるのは7人。
ファイナリストに決まった生徒は、リハーサルや連絡事項を配達、送迎をこれまた校内で選ばれた
7人が担当する事になる。
<ムルー>
自分のピアノ演奏で歌うムルーは、3姉妹の長女で、父親はイギリス系で母親はマレー系のハーフ。
中国人のメイドのメイリンが、母親より3姉妹に口うるさく躾をする。
ムスリム(イスラム)の家庭。 マヘシュがムルーの送迎係となる。
<マヘシュ>
幼い時に父親を亡くし、以来叔父が母親と姉の3人家族の面倒を親身になって見てくれている。
聴覚障害の為に手話で話をする。 インド人でヒンドゥー教。 叔母も頻繁に出入りしている。
<ハフィズ>
転校生で、学力も優秀でギターを弾き自作の歌で、ファイナリストになる。
たった一人の肉親の母親は脳腫瘍で入院中。 マレー人、ムスリム。
<カーホイ>
ハフィズが転校してくるまで、校内トップの秀才だったが、トップをハフィズに取られ、父親に学校で
一番の成績を取れと厳しく言われている為にハフィズがカンニングしたと教師にチクるのだが…。
二胡の演奏でファイナリストに選ばれる。 中華系。
ハフィズは誰にでもとても優しくて、文武両道な若者。
母親のお見舞いに行き、ファイナリストになった歌を歌ってやり、賞金を取ってくると言う。
けれども母親は、素敵な歌を作ってくれたお前がいるだけで良いと言う。
「最後までやり抜きなさい」とも。
母親は手の施しようがない状態だが、ユーモアを忘れずに楽しい人である。
送迎してくれるマヘシュにお礼を言っても、スルーされるムルーは、最初はマヘシュの事を
礼儀知らずと罵るのだが、耳が不自由という事を知り、優しく接し、段々とマヘシュの事が
好きになって行く。
マヘシュの家族の面倒を見ている叔父は、マヘシュの母親に頭が上がらない。
昔、雑貨店の娘に恋をして、結婚したいと言ったのだが、娘の家がムスリムだと知った家族が
猛反対して、諦めさせた。 そのせいで、ずっと独身だったがようやく結婚が決まったのだが。
二胡を弾くカーホイが、一番のイケてる面なのだが、プレッシャーで押しつぶされそうになっている。
ハフィズが手を差し伸べても、握手をせずに無視してしまう。そんな嫌な奴なのだが…。
多国籍民の集まる国マレーシア。
それ故にマレー系、インド系、中国系…民族や宗教の違いによる葛藤が渦巻く。
それは、子供達にも言える事である。 親がそう教える。伝えていく。
ムルーの声も凄く綺麗で、うっとりするし。 ハフィズの歌も暖かい。
加えて、先生達がまた面白部分を担当していて、お茶目だったりでホッコリさせてくれる。
ムルーの父親はイギリス系で、これまたちょっと他の家とは違うのだろう。
登場人物の中ではムルーの父親が私は1番のお気に入り。
まだまだ監督は映画が撮りたかっただろうけれど、本作が長編の最後の作品となった。
優しい、暖かな作品だった。 本作は泣けたなぁ~。 お調子者のマヘシュの叔父さんが切ない。
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