2015・英・ハンガリー・仏 ★★★☆☆(3.1)
監督:ブラディ・コーベット
出演:ベレニス・ベジョ リーアム・カニンガム トム・スウィート ロバート・パティンソン
ジャン=ポール・サルトルの短編「一指導者の幼年時代」を基に、政府高官を父に持つ
美しい少年が狂気の独裁者へと変わるさまを描くミステリー。
後に独裁者となる少年を新星トム・スウィートが演じるほか、ベレニス・ベジョ、ステイシー・
マーティン、ロバート・パティンソンらが出演。
『ファニーゲーム U.S.A.』などの俳優ブラディ・コーベットが監督を務めている。
(シネマトゥデイより抜粋)
本作もスゲエ気になっていた作品。 ちょっと前に見たのだが、早く書きたい作品が多くて。
1918年、ベルサイユ条約締結のため、米政府高官が妻と息子とともにフランスに
送り込まれた。
まるで少女のように美しい息子だったが、終始不満を抱え、教会へ投石するなど、
不可解な行動や言動繰り返し、両親は頭を悩ませていた。
周囲が心配する中、少年の性格は恐ろしいほどゆがんでいき、やがて彼の中の
怪物がうめき声を上げる。
この少年を見た時に「ベニスに死す」のタジオを思い出した。
兎に角美しい少年であることは間違いない。 台詞の中にもあるのだが、ともすれば
少女に見える事もあるぐらいの可愛らしさ。
しかし、この表面の美しさとは裏腹に、内面ではモンスターが育ち始めている。
どんな子供にも有りがちな、自分の味方をしてくれる大人は好きで、叱る大人は嫌い。
両親は、躾の為に叱るのだが、初めはそれを信じていた少年も、色々な事を
見聞きしていくうちに、ウチに籠り、モンスターをドンドンと増長させていく。
物凄くシンプルなストーリーで、見せていく本作だが、↑この表情の少年が本を読んだり
「嫌だ嫌だ!」と叫んだとしても、全くモンスターの影も形も見えてこない。
来ないのだが、そのモンスターの増殖する様を異様な音で想像させているのでは?と
思ったのだが。
本作の音楽が、トンでもないモノで、普通の丸い天窓さえも、その音楽と共に見せられると
何か途方もなく不気味なモノが、其処から覗いている感じすらする。
一見普通の家庭に見えて、父親は家庭教師と、母親は知人の男性と何やらあり気で
それを繊細に受信してしまう少年。
家庭教師が読み聞かせてくれた、フランス語のお話を部屋に籠って自分の力で
読み切るまでになる執着心とそのお話の歪んだ捉え方。
両親のモノには絶対に収まらないと言う、怖いぐらいの気持ち。
それを音楽で煽る本作は、ある意味問題作ではあるでしょうが、如何せん「架空の国」の
独裁者の幼年時代なので、そこまで「やられた感」は私にはありませんでした。
それにしても、この邦題…。 まんまやんけ。と、ちょっと毒づきましたが…。(爆)
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