厨房で逢いましょう  貴方を幸せにするものとは、何でしょうか? | 新・伝説のhiropoo映画日記

新・伝説のhiropoo映画日記

映画が好きだ。ドラマも好きだ。
そして、イケてる面はもっと好きだ。

そんな好きなものが詰まった日記、読んでみるかい。



2006・独・スイス     ★★★★☆


監督:ミヒャエル・ホーフマン

出演:ヨーゼフ・オステンドルフ  シャルロット・ロシュ  デーヴィト・シュトリーゾフ  マックス・リュートリンガー



少々変わり者だが、超一級の料理の腕前を持つ天才シェフ・グレゴア(オステンドルフ)。


幼い頃、再婚した母の身篭った大きなお腹を見て、「何時か自分もあんなお腹になりたい」と思って育った。

それからは、ひたすら食べまくりの人生で今は憧れのお腹も手に入れる体型。


グレゴアの人生においての興味は、料理する事と食べる事とレストランの給仕をする女性を眺める事。

店の休憩時間には、決まって訪れるカフェがある…。

グレゴアの母親もウエイトレスをしていた為か、此処に来てはウエイトレスを眺めている。  ただそれだけ…。



ある日、グレゴアが公園で本を読んでいたら、目の前の噴水に少女が落ちてしまう。

慌てて助けたグレゴアが、ママの所まで連れて来ると、ママは芝の上でつい眠り込んでしまっていた。


何と、ママ(ロシュ)は何時も眺めているカフェのウエイトレス…。  2人の出会いは、こんな風に始まった。

娘のレオニーはダウン症で障害がある。  ママは、「明日で5歳になるの」とレオニーの事を紹介した。



其れを聞いたグレゴアは翌日、レオニーの為にプラリネをのせた手作りのチョコレートケーキをプレゼントする。

実は、レオニーは医者からチョコレートは止められているという事を知る。

だが、子供のレオニーはプラリネが気に入って、幾つも食べて止めないのである。


お誕生日だからと1つ2つは大目に見ていたママも「もう駄目よ」とレオニーをとめようとしたが、癇癪を起こした

レオニーは、誰のいう事も聞かなくなる。  暴れたせいで、ケーキも床に落ちてしまう。  

後一つ残っていたプラリネがレオニーはどうしても食べたかったのだ。  

その、床に転がった残りの一つを口に入れたママは、レオニーがチョコレートを食べたせいで暴れたのでは無い事に

気付いた…。  大人の私でも、2個目を食べたいと思うほどの美味しさだった…。

プラリネの味が忘れられないママは、夜遅くにグレゴアのキッチンを訪ねる。


一応、レオニーが描いた絵をお礼に持って来たのだが、そんな事はキッカケに過ぎなかった。

グレゴアは、火曜日の夜は自分の家のキッチンで料理の研究をするのが日課だった。

今日も、思いつく限りの食材で煮込み料理を作っていた…。  

そんな、グレゴアの至福の時。  はっきり言ってママは、邪魔者だった。  

「他に何か用事でも?」人付き合いが下手なグレゴアがつっけんどんに聞く。


「プラリネの味が忘れられなくて…」ママは正直に話す。  

すると、「アレは特別に作ったモノで2度と同じ味は出来ない」  ママは、思い切って言ってみた。

「今作っている、お料理の味見をさせて…」  「まだ、出来上がりじゃ無いよ」と言いながら、お皿によそってくれる。

そして、「これを食べたら帰ってくれ。 僕はワインセラーに行っているから…」そう行ってキッチンから出て行った。


キッチンに戻ったグレゴアは驚いた…。  

皿の料理だけでは足りなくて、鍋の中に顔を突っ込んでママは食べている。  

そして鍋の中身を食べつくしたママは、そそくさと出て行ってしまった…。



翌日、カフェでママは昨夜の無礼を詫びた。  そして、「昨日の食材は何だったの?」と尋ねた。

「牛の睾丸だよ」面白そうに笑って答えるグレゴア。  其れを聞いたママは、暫くの間食欲が湧かなかった…。


今度は、ママがグレゴアを自宅に招いた。  「私が料理を作っておきますから…」と…。

だが、レオニーの世話に追われて、疲れ果てたママはソファで眠ってしまい、グレゴアが尋ねて来ても

何の料理の用意も出来ていなかった…。


見かねたグレゴアが、レオニーのキッチンで料理を作り3人で食べた…。

レオニーも大のお気に入りのグレゴア特性のソースを掛ける。  チョコレート味のソース。

レオニーもそのソースを食べても全く何の問題も起きなくなっていた。

反対にグレゴアの料理を食べるようになったレオリーは、グッスリ夜眠るようになり、ママは大助かりであった。


レオニーが嬉しそうな顔で呟いた…。  「エデン…」

其れを聞いたグレゴアは、「エデンの園のエデンかい?」と尋ねる。  ママが頬を赤らめて言う。



「私の名前なの…」 そう、ママの名前はエデンであった。


それから、毎週火曜日はグレゴアのキッチンに行き、話をしながら料理を堪能するエデン。

グレゴアも、彼女の為に料理を考え作る喜びを感じて行く。


まだ、夏だと言うのに来年の2月まで予約で一杯のグレゴアのお店。

彼の料理は「官能料理」又は、“エロチック・キュージーヌ”と呼ばれ、その料理を口にした人々全てを虜にする。



エデンはグレゴアの事を大事な友人だと考えていた。  グレゴアも又、エデンの事を…。

だが、そんな2人の事を世間はそういう風には、言わなかった…。  


とうとう、エデンの夫の耳にもその噂は入る事となってしまう…。




《***》

京都で、ラストの日のラストの時間に見て来た…。

予告が、結構官能的な風だったので、チョット楽しみだった。


でも、ホンノ一瞬だけ画像を探している時にレヴューのタイトルが目の横っちょに入った。

「後味が悪い作品」。  ゲゲゲ! そうなのか? 

「ナンダヨゥ!見る前には何にも入れずに見なければ」と思っているのに…。 チョットだけ、覚悟しながら見た。


そうなの? 受け取る感じ方は人それぞれだから、そのレヴューを書いた方には何にも言わないけれど。

後味、全然悪くないし!  

でも、私は(私の意見です~~!分かってるっつーの!)エデンの事が最後まで好きにはなれなかった。

なんて、欲張りな女なのかしら…。  そう思った。


グレゴアは、太っちょだし、息遣いも日頃から荒いし、肥満の為に心臓も悪いし、禿げているけど。

何故か、魅了する物を持っている人。

其れは、別に美味しいお料理を作るからでは無い。  きっと、信念を持って生きているからだと思う。

下ネタメイタ事も、さらりと言ってのける。  全然イヤらしくない…。  其れは、太っちょだからじゃない。


調理の仕方も、「男の料理」と言えば聞こえが良いが、大胆かつチョット悪く言うとグロテスクにさえ見える。

けれど、出される料理は人々を天国に連れて行くほど美味いらしい…。



そんな、グレゴアの料理を皿まで舐め尽す勢いで、食べるエデンを見て、もっと美味しい物をと思う…。

2人の間には、肉体関係などはまるで無いけれど、グレゴアはエデンの為に料理を作り、其れを食べるエデンは

そうやって相乗効果が、何倍にもなって行く。


そういう意味では、エデンの事は好きにはなれなかったけれど、グレゴアには必要な人だったのだろう。

あるいは、運命の人だったのかもしれない…。



物を食べると言う行為は良く、SEXのそれに例えられる事も多いのだが。

グレゴアの作る料理が、エロティック・キュージーヌとは…。  何て、大人な作品なんだろうか。

けれど、この作品には当然R指定は付いてはいません。


ウチの男前も、将来的には調理師になりたいと希望しているが、まだまだ君には早い気がするな。 この作品。

そんな感じの作品です。  皿の上には何も残さず、全てお召し上がり下さいねナイフとフォーク