東京タワー オカンとボクと、時々、オトン  パーフェクトの出来!満足でゴワス! | 新・伝説のhiropoo映画日記

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映画が好きだ。ドラマも好きだ。
そして、イケてる面はもっと好きだ。

そんな好きなものが詰まった日記、読んでみるかい。



2007・邦画     ★★★★★


監督:松岡錠司

出演:オダギリジョー  樹木希林  内田也哉子  小林薫  松たか子   勝地涼  荒川良々  渡辺美佐子



1960年、3歳のボクは小倉にオカン(内田)とオトン(小林)と暮らしていたが、遂にオカンはボクを連れて家を出た。


「オカンのオカンの家に行くんよ」そう言い、長い線路伝いにオカンに手を引かれて歩いた。


オカンの実家がある、筑豊に移りオカンは女手一つで、ボクを育ててくれる。

オカンは、妹の「ブーブーおばちゃん」の店を手伝いながら、おばあちゃんの家に厄介なっていたが

オトンから逃れて自由を得たせいか、オカンもそれなりに毎日を楽しんでいた…。


ボクは、生粋の炭鉱町のガキになっていた。


長い休みになるとオトンの住む小倉にボク一人で行かされた。

オトンとの思い出は、その夏休み行った時に船の絵を横からしか描かないボクに「同じ絵しか書かない」と

言われて「船を横からしか見たことが無い」と言ったら、オトンがボクの為に船の模型を作ってくれた。

この時の事しか、オトンとの思い出らしいものは無い。


けれど、その木で作ってくれた船の模型も白いペンキを途中まで塗って止めてしまった。

オトンは、そんな人間なんだ…。



ばあちゃんの家にずっといるのは、悪いと言ってオカンは実家を出ることにした。

元は病院だった様なボロボロの建物の一室を借りて、オカンとの本当の2人暮らしが始まった。

ボクは中学3年になり、大分の高校に進学したいとオカンに切り出せずにいた…。

オトンは、「男は早くから外に出ろ」と言ってくれたが…。  

生活も苦しいのに下宿までしなければならない大分の学校…。


家に帰宅したら、オカンはありったけのご馳走を用意してくれていた。  「大分の高校に行くんだから…」と。


大分の高校から、東京の武蔵野にある美大を受験したら合格した。

そして、またまたオカンに仕送りを頼みに頼みまくるボク(オダギリ)であった。

たまに掛かってくる電話には、ずっと生返事をしていたが4年生が終る頃、「卒業できそうに無い」と

オカンに電話をした。


オカンは、知り合いから店を譲り受け一杯飲み屋を開く事になった。

元気な声で「私も頑張るから、マー君ももう1年留年して頑張りなさい」そう言われた。


何とか、卒業はしたものの死なない程度に毎日を今迄ながらのていたらくで暮らしていた。


何とオカンはガンで入院して、手術まで受けていた。

ボクは心を入れ替えて、出来る仕事は何でも引き受けた。

もう、どんなに如何わしいサラ金からも金を借りられない所まで行っていたボクだったが、

借金を完済出来そうなまでになった。


ボクの本も出版された。  オカンに送ったら、とっても喜んで電話をくれた。

その時、「東京に来らんね?」と言った。  

オカンはガンが完治しておらず店を度々休まねばならずにクビになっていた。 


そして、オカンが東京に来た…。



ボクの家に集まる友人達は、オカンの飯が食べたいが為に集まっている様なものだった。

その時のオカンは、何時にも無く幸せだったんだろうと思う…。



そんなオカンが、ポツリと言った。  「マー君、食べたものが突っかかる様な気がするとよ…」

オカンが居て、友人達が集い、それが当たり前に思う様になっていた。

オカンが東京に来て7年の月日が経っていた…。


今日、オカンに付き添い病院に連れて行く時、生まれて始めてオカンの手を引いた…。





《***》

何も知らずに真っ白な原作本を手に取った時は、まさかこれ程のヒット作となるとは思っていなかった。

飄々とした佇まいのリリー・フランキー氏からは、想像出来にくいオカンを私なりにイメージしていたのだが…。


ごく普通の青年の青春時代とオカンと暮らした普通の日々のお話なのだが。

原作を号泣しながら読んだだけに、下手な映像化はしないで欲しいと願っていた。


スペシャルドラマは、一応見たがかなり持っていたイメージとはかけ離れ、田中裕子のオカンも若すぎて

「やめてくれよ」と思った。  月9の連ドラは、一切見なかった。  それで良かったと思っている。



そして、待望の映画化。  オカン役を樹木希林がやるという。  もうそれだけでグッドだと思っていたが。

オダギリの自然なボク、時としてリリー氏を彷彿させる様な雰囲気さえも、良く演じていた。

余り前面には出てこないが、小林薫のオトンが本当に良かった。

何時まで経っても中途半端な人間なんだろう、そんな端々も見え隠れする。


そして、想像通りの可愛くて憎めないオカンの樹木は素晴らしい以外に言い様の無い出来であった。

若い時のオカンに樹木の娘の内田也哉子が、初めての演技に挑戦したが朴訥とした田舎の娘を

素直に演じていて良かったと思う。

内田から樹木にスイッチする時も、親子なのだから当たり前かもしれないが、なんの違和感も感じられなかった。


聞く所によると、監督自ら本のサイン会に並んで、直接リリー氏に「映画化の際は自分に撮らせて欲しい」と

頼み込んだらしい。



が、この作品の良く出来ている所は役者のキャスティングや役者の演技力も勿論あるだろうが…。

松尾スズキの脚本の素晴らしい出来が、何よりも原作をこよなく愛した私のイメージを数ミリも損なう事も無く

物静かでやんちゃなリリー氏の大事な思い出を本当に上手く描き出していたと思う。


当然の如く、泣きまくりの2時間22分でありました。

「フラガール」の時より泣いたと思う。  危うく声を上げて泣きそうになった。

試写が終って帰り道ですら、もし一人だったら泣きながら帰ったと思う。

男前の手前、こそっとまだしゃくりあげている自分を隠しながら、駅までの道を歩きながら帰った。


これを書きながらも、ついつい涙が出てしまう。  そんな感じ…。


意外な場面に沢山の有名人も出演していたが、「踊る~」や「UDON」で受けたそんな感じは全く無い。

そんな事に気付かないで、ストーリーをボクをオカンを見詰めていた…。



出来れば、原作を読んでから映画を観て欲しい。

そうすれば、松尾スズキの偉大さに今頃やっと気付いた、私の馬鹿さ加減を笑えるでしょう!


これ程、完璧に原作を壊さずに映画化された作品があったでしょうか?

褒めすぎでも良いの!  思いっきり、褒めてやるぞドキドキ


これで、「幸福の食卓」は今年1番の邦画作品から1歩後退してしまったなぁ~。

今のところこの作品が、今年の邦画No.1でしょう。



オダジョーの九州弁も全く問題なし!だったよ~~ん。

何となくリリー氏を彷彿させる様な、微妙な色使いの着こなしにも注目ヨン!(爆)




《+++》

「拝啓、父上様」も終了したのだが、明日にでも感想を書きたいと思う。


色々書きたい事もあったのだが、何か妙におセンチな私が今日はいる。

後で読み直すとコッパズカシイ事を書いてしまいそうなので、本日はこれにて終了いたします。

では、また明日お会いしましょう~~!!