墨攻  不条理な心根を持つ主君に仕える民に希望の男、見参!! | 新・伝説のhiropoo映画日記

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映画が好きだ。ドラマも好きだ。
そして、イケてる面はもっと好きだ。

そんな好きなものが詰まった日記、読んでみるかい。



2006・中国・日本・香港・韓国     ★★★★☆(4.3)


監督:ジェイコブ・チャン

出演:アンディー・ラウ  アン・ソンギ  ワン・チーウェン  ファン・ビンビン  ワン・チーロン  チェ・シウォン



紀元前370年頃の戦国時代。

趙と燕の国境にある、梁城は危機に瀕していた。

趙の大群が燕を侵略しようとしており、先ず手始めに梁城が攻撃される事が必至であった。


百戦錬磨の趙の巷淹中<こうえんちゅう>(ソンギ)の率いる勇猛な10万の軍に対し梁城は全住民僅か4千人。

頼みの綱は墨家の救援部隊だったのだが、とても間に合いそうにも無い。

梁王(チーウェン)は仕方なく降伏を決断する。


(巷淹中・ソンギ  趙の10万の軍を率いる)  (梁城の梁王・チーウェン その場限りの考えしか持たない)



が、その直後にたった一人で粗末な身なりをした墨家の革離<かくり>(ラウ)が駆けつける。

梁城を守る為に直接、軍を指揮していたのは梁王の息子の梁適<りょうてき>(シウォン)。

梁適は墨家と名乗る革離を信頼すべきか、迷っていたところに趙軍の先遣隊が早くもやって来る。

その先遣隊の隊長・高賀用をたった1本の弓矢で仕留め、自分の力量を見せ付ける革離。


(梁王とは違い、大事な事を革離によって教えられる梁適)  (墨家からやって来た革離)


1ヶ月間さえ持ちこたえれば、必ず趙は梁城から撤退し手を引くと梁王に説明する革離。

その為には、革離に兵に関する全権を与える様に要請する。

そうなれば、しめたものと考える梁王は即座に革離に全権を委ねる。  城を守る準備に取り掛かる革離。


                            (弓兵の子団・ローチン)


老若男女総動員で、城を守る為の計画の為に働き出す。

革離は、弓隊の総括をタダの一、弓兵である子団<シダン>(ローチン)に委ねるが「弓の力は自分の方が

勝る」と猛反発する梁適。

それならばと、皆の見る前で弓の腕比べをする。

が一瞬、梁適の方が勝るっていると思われたが、革離の読みどおり子団が、圧倒的に梁適を負かしてしまう。

「貴方は、王子という立場に居た為に兵隊達はワザと負けていたのです」そう、ハッキリと「井の中の蛙」

状態では無く世間に目を向けなさいと、教えてくれる革離。

今まで、誰もが自分には話してくれなかった事を教えたくれた革離を慕いだす梁適。


革離が梁城に着き、城を守る為に様々な策を練っている事を知った巷淹中は、梁城の側まで来て

革離に盤上の戦いを挑む。

しかし、盤上では革離には到底勝てずに革離は相当な力量の持ち主で好敵手だと分った巷淹中は

実践での再会を期して帰って行く。



そして、遂に戦いの火蓋は切って落とされた。

果たして革離は、これだけの軍勢を前に、たった一人で城を守りきる事が出来るのであろうか?




◎墨家とは

 墨子という人物が戦乱の世にありながら平和国家を作る為に、学団内で多数の門人を教育して

 一人前の墨者に仕立て上げ、諸国を遊説させたり官僚として諸国に送り込んだりして墨家の思想を

 天下に実現させようとしたもの。

 墨子にも色々な力を持つグループがあったが、この作品に出てくる革離は守城兵器の製作や

 防御戦闘に従事する等の事柄に長けた墨者であったと考えられる。





《***》

墨者の中でも、異端児的な存在だと想像出来る革離。  それは、後々のストーリーで分ってくる。  

当たり前だが変身などはしないが、革離は本物のヒーローである。


中国のストーリーなのだが、日本のコミックスの映画化となったこの作品。

そのヒーロー革離を演じるのは、日本人にも馴染み深い「アンディ・ラウ」。

目千両と言っても良い、眼光の鋭さは知力の高さをも表しているように思える。


その知力の革離に挑むのは、10万の兵を自在に操る巷淹中を演じる韓国実力俳優No.1の地位の座に

君臨する「アン・ソンギ」。  中国語も操る芸達者である。

巷淹中も敵ながら天晴れな人物であり、とても上手に描かれていた。


そして、何と言っても厚顔無恥でその上欲深く疑り深い。

君主でありながら自分さえ良ければ良いんだもん状態の梁王。  

ワン・チーウェンが気持ち良いほどの馬鹿っ王振りを演じてくれた。



褒めだすとキリの無いこの作品。  当初、想像していたよりも遥かに面白い作品だった。

だが、マイナスな所も随所にある。


先ず、歴史的な背景や墨家の説明的なところが物凄く分り辛い。  

特にオープニングから最初の頃は、ちょっと嫌になっちゃう位退屈でもあるし、慣れるのにも理解するのにも

少々時間が掛かった。  この辺はもう少しコンパクトに的確に現して欲しいし、見せて欲しい。


それと父親が梁城の軍の指導者的な立場であり、自らも女でありながら騎馬隊の隊員である

逸悦<いつえつ>役のファン・ビンビン。

顔はとても可愛く幼い、その上声がアニメ声。  とても女でありながら戦う騎馬隊員とは思えない。

父親が亡くなった後、革離を住まわせ身の回りの世話をする役どころ。

革離の事を好きになってしまうのだが、梁王に反抗的な態度を取った為に後に幽閉されてしまう。

そんな関わりから、逸悦の事を革離も又愛するようになると言うサブストーリーもあるのだが

こんなに知的な革離が、こんな女々した逸悦に惚れるだろうか?

設定も、合わないと思ったがファン・ビンビンのキャストも全く駄目。


やっぱり、女なのだが父親に男として育てられたぐらいの設定が欲しい。  「ベルバラ」のオスカルの様な。  

墨者として生きる為に見返りも、何も望まない革離にはきっと自分を押し殺した様な人生を生きる逸悦の

気持ちが分るのでは…?  ちょっと、ありがち過ぎるか?



後は、前半の説明どころをコンパクトにしたら、後半の革離の戦いの見せ場をもう少し見せて欲しかった。

そこばかりを予告やCMで宣伝している割には、呆気なく感じたけれども…。


そんなところでしょうか?  

まぁ、こんな「あーでもない、こーでもない」みたいなちっちゃな事は、アンディの格好良さで

一掃されちゃいますけれどもね!


ラストもこれまた良いんですわ!  ホントにね!


忘れちゃいけない、子団こと「ウー・ローチン」のカッチョ良い活躍もお忘れなく。

髪型が似合わなくッて、何処と無く「ジャッキー・チェン」に似ている様に思う方も多いみたい。




「MUSA」も面白かったけれど、「墨攻」も結構イケテルよん。




《+++》

呉 奇隆(ニッキー・ウー改名 ウー・ローチン)



台湾生まれの37歳。  アクションもかなりイケルのだが、肩がボロボロらしいので今後はどうするのかな?


ビデオ作品でしかないけれども、金城武と共演の「危険な天使たち」「炎の大走査線2」にも出演しています。





私が大好きなのは「トワイライト・ランデヴー」「バタフライ・ラヴァーズ」(共にツイ・ハーク監督作品)



幽霊の役なのよん(トワイライト・ランデヴー)  もう、美しいったら無いほどの美青年!



(バタフライ・ラヴァーズは前半はコメディか?と思うけれど、切ない恋の物語です。)



最新のTVドラマみたいですが、こっちには来ないんでしょうね!  今後、活躍できたら良いけどなァ~。

応援はしたいと思っていますが…。