２００１・邦画 ★★☆☆☆（2.8）
監督：辻仁成
出演：武田真治 大浦龍宇一 yuma 城明男 津田寛治 根岸季衣 千石規子 井川比佐志
エキゾチックな面影の漂う、湊街。
何もかもが違う２人の兄弟。 兄のシバ（大浦）は腕っぷしも強く、街の若者のリーダ格。
弟のライ（武田）は、生まれてこの方怒った事が無く、皆から「ほとけ」と呼ばれていた。
２人の父（井川）は、寂れた自動車修理屋をしている。 母は、夫の浮気が原因で自殺した。
シバは、仲間の若い者を連れ立って如何わしい事をしながら毎日を過ごしていた。
たまに行く、昔の情緒たっぷりのサウナには、盲目のマッサージ師のユマ（yuma）がシバの体を解してくれる。
ユマは、毎回同じ事をシバに問いかける。 「虐められていたユマをシバは助けてくれたね」
「大きくなったら、ユマをお嫁さんにすると言ったね」
本当は、いじめっ子に混じってシバもユマに砂を掛けていたのだが…。
助けたのは、弟のライだったのだが…。
ライは、リヤカーに鉄屑を拾い集めては、作業所に入って行く。
たった一人で鉄屑のほとけを作っているのである。
時には、憂さ晴らしにほとけをサンドバッグ代わりに殴る奴らもいるが、ライは怒ったりしない。
海岸のかもめに餌をやり、道端に花の種を撒いて行く。
ライはユマの事が大好きだが、愛し方が分らない。 何時も何時もユマを見ている。
ユマは、子供の頃失明をした。
母親（根岸）が飲んだくれの再婚相手を引っ張り込んだが、男はユマを抱きたいと言う。
まだ、年端も行かないユマは幼い頃より、飲んだくれの慰み物となっていた。
その上、男は働かず母親もユマのマッサージの給料だけでは、やって行けないと「体を売るなり、夜の商売もして稼いどくれ」と言う始末。
職場のロッカーにこっそりお金を貯めているユマ。 何時の日かシバとこの街を出る為の資金なのだ。
ある日、窓からユマの事をそっと見ていたライは、驚いてしまう。
眠ってしまっている客の財布から金を取っている所を見てしまう。
ユマは、何時の頃からか目が見える様になっていたのだった。
ライが幾ら誘っても、ユマにはシバしか見えない。 強くて、優しいシバが大好きだったのだ。
そして、シバはユマが目が見えないから優しくしてくれる…。 目が見えない事を演じ続けるユマ。
そんなユマが、愛おしいライ。 シバのユマへの優しい言葉などは、単なる気まぐれなのに…。
ユマがシバに街を出ようと話した。 資金も１００万ほど貯まったからと。
その言葉を聞いたシバは、金だけを取り上げて違う女と遊び放題。
ライは、そんなシバを絶対に許せなかった。 ユマが自分だけを見てくれる方法を考えるライ。
金だけを取って行ったシバを見詰めていたユマは、ライの作っている鉄のほとけに祈るのだった。
次々に起こる悲しい事件は、ユマとライの気持ちをどう変えて行くのだろうか？
ライの気持ちが、ユマに伝わる日は来るのであろうか？
《＊＊＊》
「千年旅人」に続いて、作家の辻仁成がメガホンを取った作品。
「千年旅人」は雰囲気がちょっと好きだったが、この作品はかなり独りよがりな感じだなぁ～。
３人の三角関係の恋愛映画なのだが、なんだかなぁ～なのである。
ライを中心に話を描いているわりには、どうもライの心情が見えてこない。
ユマも失明してしまった少女がある日突然、見える様になったりするものでしょうか？
それならそれで、手術をして本当は見えているのに「見えない」と言いながら、長年家を出る計画をたてるとかなら、ちょっとサスペンスも入って良い感じなんだけれどもね。
辻仁成が、キャストを選んだのだと思うが、かなりビジュアル的にも奇麗な人が好きな方だと思うのだけど。
武田真治・大浦龍宇一・津田寛治…。
yumaは千年旅人に続いて抜擢している。 お気に入りなのかしらん？
タイトルと最初のナレーションで気になって、レンタルして見たけれど、それほどまでに面白い作品とは思えません。
ただ、函館の街並みを１ヶ月のオールロケーションで撮った作品だそうで、かなり懐かしの情緒溢れた街並みなんだなぁ～とぼんやり思った。
大浦龍宇一は、結構好きな俳優だがあんまりこれと言った作品に出てない気がするが、良い作品に巡りあう事を祈っているぞ！