ひろさちや氏の心に響く言葉より…
『徒然草』に、法然上人(ほうねんしょうにん)
法然上人は、わが国、浄土宗の開祖である。
ある人が法然上人に尋ねた。
「念仏をしているとき、どうも眠くなって困ります。
すると、法然上人はこう答えられた。
「それなら、目が醒めたときに念仏をされるとよい」
これはすばらしい答えだ。
温かみのあることばである。
『徒然草』の作者も、この法然上人のことばを評して、「
わたしもそれに同感である。
法然上人には、ごく普通の人々からの質問に答えた、『一百(
その中には、「酒を飲むのは罪でしょうか?」 といった質問に対して、「
これもすばらしいことばだ。
修行中、睡魔におそわれたら、股(もも)に錐(きり)
その態度は立派だ。
また、仏教では飲酒が戒律で禁じられているから、
その人もまた立派な修行者である。
しかし、わたしには、そのような道は歩けない。
とうてい、わたしには無理だ。
そんなわたしには、法然上人のことばが安らぎになる。
ちょっと居眠りをして、目が醒めたらまたお念仏を唱える。
そういうやり方で、わたしは仏道を歩もうと思っている。
オリンピックの選手たちのように、血のにじむような努力を重ね、
だが、大多数の一般人は、そうはいかない。
しかし、その中にあっても、居眠りをして、
何度眠ってしまっても、また、起きて、
そんなカタツムリのような歩みであっても、それを何十年と続けると、
反対に、眠るまいと股(もも)に錐(きり)
ゼロかイチか、の思考だからだ。
人の考え方には、ゼロかイチかという極端な考え方とは別に、
それが、仏教でいう「中道」の教えであり、「いい加減」
雨が降ったら雨の中をゆっくり行けばいいし、もっというなら、そこで休んでもいい。
何が何でも前に進む必要はないのだ。
それが、「いい加減」な「良い加減」の生き方。
「法然上人のあたたかな言葉」を胸に刻みたい。
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