萩本欽一氏の心に響く言葉より…
ボクには、ボクなりの運の作り方というものがある。
それは、「遠くする」ということだ。
近い、遠いの、遠い。
ボクにとって運とは、「距離」の問題だ。
遠くすることで、離れた距離の分だけ運がたまる。
逆にいえば、近いところに運はない。
「遠く」にすることで、結果的に運が向いた例を話しておこう。
それは、小堺一機(かずき)と関根勤(つとむ)だ。
最初は事務所のマネージャーが、 「欽ちゃんが好きだといって、うちに若いのが二人入ってきましたが、連れて来ていいですか?」 と聞いてきた。
ボクが好きで入ってきて、その好きな人にすぐ会えるというのは近すぎると思って、「連れて来るな」と答えた。
「有名になりそうな顔をしているの?」 とマネージャーに聞いたら、「うーん、顔はそんなに悪くないですね」という。
「だったら、余計、連れて来ないほうがいいよ。遠くに離しておいたほうがいい。まずは面倒を見ないことだね。事務所において、放ったらかしにしたほうがいい。それでも5年、事務所にいるようだったら連れておいで」
ボクの言葉通り、事務所は本当に二人を放ったらかしにしておいた。
それから5年目に、そのマネージャーがいってきた。
「あいつら、放ったらかしにしておいたら、二人で喫茶店のようなところに頭下げて頼み込んで、ライブをやっています。それが、けっこうおもしろいんですよ。大将、今度、見に行きませんか?」
そういうから、「いや、見に行かなくて大丈夫。すぐに連れておいで」といって、すぐに『欽どこ』に出演させた。
結局、二人がよかったのは、がっついていなかったということだ。
すぐに有名になろうなどと考えていなかった。
普通は会いたい人に会えないと、すぐに辞めていく。
それが辞めずに5年も事務所にいて、しかも自分たちで喫茶店に頼み込んでライブをやっているというのは、自分たちで動いたということだから、それは本物だと思った。
だから、すぐに番組で起用した。
それが当たった。
『人生はおもしろがった人の勝ち』大和書房
コロナが明けた昨今は、多くの市町で「インバウンド」と言って、外国からのお客をてっとり早く日本に呼び込もうという動きがある。
この「インバウンド」も欽ちゃん流にいうなら、かなり「近い」政策だ。
経済を活性化させるには、海外からの観光客を呼べばいいという少し短絡的な考え方。
「遠く」から考えるのなら、その商店街に、まず近くの人に来てもらう。
そのためには、商店街に面白い店が最低でも1軒できることだ。
その1軒をめざして、近所や遠くからちょっとずつお客がきてくれるような店。
そして、そういう店が2軒、3軒とできること。
するとそのうち、外国の人がたまにたむろしているような店ができるかもしれない。
そういう店が現在ないのに、インバウンドで外国の人を呼んでも、がっかりして帰るだけだ。
物事は、表面的に、手っ取り早く、効率的に、短絡的に考えたことはうまくはいかないし、長くは続かない。
役所や商工会議所が「商店街活性化策」のように上から考えることも「近い」こと。
何事も、あまりがっつかず、「遠く」から考える人でありたい。
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