「頭の回転の速さ」は訓練で身につく

漫才作家、本田正識（まさのり）氏の心に響く言葉より…

お笑い芸人の評価は1秒で決まります。

仮にそれがネタではなく、自己紹介だとしても同じです。

いつどこにどんなチャンスが転がっているかわかりません。

関係者の前で自己紹介をしなければいけないことはたくさんあります。

ライバル芸人たちとしのぎを削るなかで、自分たちのアピールチャンスである自己紹介は咄嗟であろうがなんであろうが逃すことはできません。

そのときに「え~っと・・・・・・」と固まっていてはライバルに席を取られてしまいます。

お笑い芸人であればわずかな時間でも自分の特徴や強みを相手に知ってもらわなければいけません。

ですから、いつ、どんな形でチャンスが訪れてもいいようにお笑い芸人は常に頭を働かせているのです。

ここまで聞くと、芸人たちのように頭の回転を速くするのは非常に大変で、一握りの人だけの才能のように思う人もいるかもしれません。

実際にお笑いに関係のないビジネスパーソンを対象にした講演に登壇することも多いのですが、「お笑い芸人の人はもともと頭の回転が速くていいですね」と「頭の回転の速さ＝才能」のように言われることがよくあります。

ですが、最初から頭の回転が速かった「天才型」の芸人は極めて少数派です。

多くの人気芸人が訓練に訓練を重ね、何度も失敗し、それでも諦めず、頭の使い方を少しずつ覚えていくのです。

もうおわかりの通り、ここまでお話ししてきた「頭の回転の速さ」は才能ではなく、訓練によって身につけることができる後天的な能力なのです。

『 』ダイヤモンド社

本田正識氏は「速さ」についてこう語っている。

『昔はひょうきんなイメージのあったお笑い芸人が、今では「頭の回転が速い人」の代表格になるとは思ってもみませんでした。 

ここまでお笑い芸人の活躍の場が増加しているのも、「芸人に任せておけばどうにかなる」「多少のトラブルがあってもなんとか対応してくれる」という安心感があるからでしょう。 

かつては破天荒枠としてお笑い芸人にオファーがきていましたが、今では番組の 調整役としてオファーがくることも増えたように思います。 

さらには、キングコング西野くんやオリエンタルラジオ中田くんのYouTubeに代表されるように、今や社会やビジネスのことを芸人から学ぶ時代になりました。 

これらはすべて、芸人の頭の良さが買われてのことです。

「笑い」について考えるのと同じように、さまざまなことに対して答えを出し続けることができるからこそ、お笑い芸人は今の地位にいられるのでしょう。 

そして、この力は今やビジネスパーソンにも求められているように思います。

かつてよりもスピード感が求められる現代のビジネスシーンに おいては「即座に頭を働かせる」「すぐに答えを出せる」というのは大きな武器になるでしょう。

場合によっては「速さ」が前提条件になる仕事もあると思います。 

ちょっとした会話からアイデアを出すための発想力まで、頭の良さに加えて「速さ」は必須条件になっています。

毎回即座に頭を働かせ、その都度「笑い」「ビジネス」の答えをつくり出すことは、形は違えど、ビジネスパーソンとお笑い芸人に差はないように思います。』

昨今目立つのが、お笑い芸人と美人女優との結婚だ。

たとえば、本書でもとりあげられている南海キャンディーズの山里亮太氏と蒼井優さん。

とんねるずの石橋貴明＆鈴木保奈美、木梨憲武＆安田成美、藤井隆＆乙葉、アンジャッシュの渡部建＆佐々木希などなど。

「ほとんどのケースは女優が芸人の仕事に対する姿勢に惚れるんですよ。表ではふざけていても、裏では一生懸命努力している姿や真面目な部分に触れて、女性の側が惹かれていく。蒼井優も会見で『尊敬している』と言っていましたが、恋愛感情は熱が冷めればなくなるけど尊敬は簡単には消えない。だから恋多き女優ほど、結婚相手には芸人を選ぶのでしょう」（芸能レポーター・石川敏男／週刊ポスト）より

まさに、表面に見える頭の回転の速さは、努力に努力を重ねた成果なのだ、ということを見ている人がいるということだ。

「頭の回転の速さ」は訓練で身につく、という言葉を胸に刻みたい。

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