臨済宗妙心寺派宝泰寺住職、藤原東演（とうえん）
《今までは 他人（ひと）が死ぬとは思いしが 俺が死ぬとは こいつあたまらん》
江戸の狂歌師で幕府の役人でもあった蜀山人（しょくさんじん／
これは私たち自身の本音でもある。
私たちも、これまで身内や知人の死を見てきて、「
だが実は、死はあくまで他人の死であり、自分とは無関係だと、
そして、死を宣告されたらあわてふためくのだ。
私自身がそうである。
禅僧の端くれとして、生死を超越して悠然と生きる悟道（ごどう）
逃れられない死とどう向き合うのかが人間の最重要なテーマである
だが、どこか死を先延ばしして、
歌人で随筆家の吉田兼好は「思い懸（か）けぬは死期（しご）
「死は、前よりしも来らず、かねて後に迫れり」と言っている。
今こうして生きているのは奇跡のようなものだ。その生に、
蜀山人の歌には、「皆さん方よ。日頃から死を考えているかな。
私の寺の近くに、 痔の手術の名医といわれる老先生が住んでいる。
ある日、寺に来て、「お寺はいいな。 心が落ち着くよ」と、問わず語りにこう話し始めた。
「何人もの直腸がんの重症患者さんも長年診てきたんだが、
こんな重い病気なのに、よくまああんなに明るく、
どうしてこんなに違うのかと、患者さんを観察してきた。
看護師にも話を聞いてきた。
その結果、わかったことがある。
わがままな患者さんは、
言いすぎかもしれないが、わがままに生きてきた人は、
落ち着いて静かに死を迎える患者さんは、
誠実に生きてきた人は、最後まで思いやりがある。
いい人生だったんだろうと思う」
老先生は、長年の経験から、
つまり、「生き方が死に方を決める」と いう結論になる。
金城学院大学学長の柏木哲夫氏は、「
『（これまでに2500名もの方を看取られてきて、
人は生きてきたように死んでいくということです。
これは私の実感ですね。
ですから、
それから、周りに感謝をして生きてこられた人は、
このことは、よき死を迎えるためには、
「生き方が死に方を決める」という。
人生の否定的な面ばかりを見て生きてきた人は、
人生の肯定的な面ばかりを見て生きてきた人は、
すべての現象に色はついていないという。
その現象に色をつけるのは自分。
つまらないと思えば、つまらなくなるし、
まさに、中村天風師のいう「人生は心一つの置き所」だ。
「生き方が死に方を決める」
そして、「生きてきたように死んでいく」。
感謝多き、利他の人でありたい。
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