塩野七生氏の心に響く言葉より…

 

 

 

次に帰国したときは寺子屋をやってみたいと書いたのを読んだ人から、それならこんな感じですかと本が送られてきた。

 

吉野源三郎の書いた『君たちはどう生きるか』と題した本だ。

 

全体の構成がすこぶる良くできている。

 

文学でも芸術でも音楽でも、構成が良くできているという一事はすこぶる重要で、長年にわたって多くの人々から愛されてきた作品のほとんどは、構成が良くできているのだ。

 

 

この歳になってから読んだのだから、まだ若いオジさんや十五歳のコペル君とまったく同じに考えられるわけはない。

 

マンガ版のキャッチコピーは次のようになっていた。

 

「自分の生き方を決定できるのは、自分だけだ。

 

人間としてあるべき姿を求め続ける、コペル君と叔父さん。

 

永遠の名作が、80年の時を経て、ついに漫画化!」

 

 

これで二百万部以上も売れた作品に文句をつけるのは流れに逆らうもいいところだと思いつつも、逆らうことにしよう。

 

自分の生き方を決めるのは自分だけ、ではまったくない。

 

決めたのは自分、と思っているだけで、実際は、出会った人やその時代の空気、その空気がどうあろうともその時代に生きていた人たちの感受性、等々に影響されて、自分でも気づかないうちに決めていた、にすぎない。

 

それを一語であらわせば、「運」。

 

 

才能などは、運に恵まれれば自然に育ってくるものである。 

 

人間としてあるべき姿を求め続ける、のほうは理想。

 

まずもって、あるべき姿とは何かが、たいていの人にはわからない。

 

子供だからわからないのではなくて、大人になっても わからないのが人間の現実。 

 

 

それで私などは、大学では哲学科にいながら、レオナルド・ダヴィンチの考え方をまねすることにした。 

 

「うまく使った一日の後には快い眠りが訪れるのに似て、うまく使った一生の後には安らかな死が訪れる」 

 

つまり、人間としてあるべき姿などという高尚なことは、考えないと決めたのだ。

 

ソクラテスには悪いけれど、ずっと気が楽になった。

 

 

 

誰が国家を殺すのか 日本人へV (文春新書 1386)

誰が国家を殺すのか 日本人へV (文春新書 1386)

 

 

 

 

 

クランボルツ教授が唱える「プランドハプンスタンス理論(計画的偶発性理論)」というキャリアの理論がある。

 

個人のキャリアの8割が、予想できない偶然の出来事によって左右されるというものだ。

 

それは、「慎重に立てた計画より、想定外の出来事や偶然の出来事が、キャリアに影響を与えている」、「人生には偶然の出来事はかなり頻繁に起きている」ということ。

 

 

そして、実際自分が決めてきたと思っていることも、そうではないことが多い。

 

たとえば、自分の親や、生まれた国、母国語を自分で選ぶことはできない。

 

最初に通った幼稚園や小学校も、同級生や先生もコントロールはできない。

 

友達も自分で選んだと思っているが、実際は住んでいる場所、学校、仕事、家族の関係などが大きく影響している。

 

仕事も同じで、自分で選んだように思っているが、その会社が採用してくれたから入社できたし、同僚や上司も選べない。

 

塩野七生氏はそれを「運」だという。

 

 

それは、クランボルツ教授のいう「人生は想定外の出来事や偶然の出来事が人生に大きな影響を与えている」ということ。

 

そして、教授は「よき偶然」を手に入れるには、つぎの5つの考え方と行動が大事だという。

 

それは、「好奇心」「持続性」「柔軟性」「楽観性」「冒険心」。

 

 

だからこそ、目の前の出来事に対して、好奇心を持ち、楽観的に、柔軟に考え、冒険心を持ち、チャレンジすることを生涯持続し続けること。

 

すると、よき偶然が次々と起こる。

 

そして、それは、最初から「あるべき姿」を追求することではなく、行動した結果が「あるべき姿」になるのだ。

 

つまり、それが「運」。

 

しかし、ただじっと待っているだけでは、よき運はやってこない。

 

 

「よき運」を引き寄せることができる人でありたい。

 

 

 

 

誰が国家を殺すのか 日本人へV (文春新書 1386)

 

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