元春日大社宮司・医師、葉室頼昭(はむろよりあき)氏の心に響く言葉より…
宇宙にはアポトーシスという法則が、一五〇億年前に宇宙が誕生した当初から厳然と続いております。
このアポトーシスというのは何かというと、この世の中で必要でないものは消えるということです。
例えば人間の体でも、細胞が自分は必要とされていないと感じると、消えてしまうのです。
そんなばかなことがあるかと思われるかもしれませんが、例えば病気で長い間寝ていて、病気が回復した後で歩こうと思っても、足が弱ってなかなか十分に歩けないということは多くの人が経験していることでしょう。
これは簡単に言うと、長い間寝ていると、足の細胞の遺伝子が自分たちは必要でないと感じてどんどん消えていって、足が細くなるからです。
これはほんの一例にすぎませんが、体のどの細胞でも自分が必要でないと感じると、消えていくようになっているのです。
これは体にとってマイナスの意味しかないように思われますが、じつはこれもまた素晴らしい神さまの知恵の現れなのです。
例えばガン細胞なども、自分が必要でないと思えば消えていくはずです。
ところが、人間はガンを認めて、逆にそれを撲滅しようと闘うから、かえってガンは治癒しないのではないでしょうか。
日本人は古来から祓(はら)いというものを毎日行ない、神さまの素晴らしい気を体に入れて、不必要なものは消えていくということを行なってきました。
例えば感謝というのが神さまの気です。
昔の日本人はアポトーシスなどという医学の知識は全くないのに、祓いを行なって健康で幸せに生活してきたことは、素晴らしい知恵ではないでしょうか。
ところで、脳の細胞も脳を使わなければどんどん消えていきます。
例えば、アルツハイマーという、いわゆる認知症になった人の脳は、細胞がどんどん消えて小さくなると言われています。
脳を使うというのは、いったいどういうことなのでしょうか。
先ほどの例で言えば、私は物事の現象や結果だけを見るのではなく、目に映った像を立体的に変え真実の正しい姿として見るということが、人間に与えられた脳を使うことだと思います。
ですから、毎日テレビゲームやインターネットに映る平面の像ばかり見ていると、自分では気が付かないうちに、人間としての情緒や感情をつかさどる脳の細胞が消えていくのではないかと思います。
また、若い人たちは携帯電話でメールのやりとりなどをしておりますが、これもまた平面の像でありますので、これも長い時間行なえば、人間の脳の細胞は消えていくのかもしれません。
どうか目に映った平面の像だけを見ないで、真実の姿を見ていただきたいと思います。
というのも、平面の像を見続けることで、自分では気が付かないうちに、人間としての脳細胞の一部が消えて、動物的な考えになっていくのが恐ろしいのです。
そのような人は無意識のうちに、人間でありながら動物的な行動をすることがあるからです。
わたしはそのことを心配しているのです。
それというのも、この問題が日本の将来を左右する重要な鍵になるのではないかと思うからです。
『神道と“ひらめき”』春秋社
「アポトーシス」は、組織をよりよい状態に保つために細胞が死んでいくことをいうが、その対義語として使われるのが「ネクローシス」。
「ネクローシス」とは、外からの何らかの障害、外傷や血行不良などが原因で細胞が死ぬことを言う。
孤独を感じている中年の人たちは、孤独を感じていない同世代の人たちと比べて、認知症やアルツハイマー病を発生するリスクが2倍高いという研究結果が、米ボストン大学のウェンディ教授らの研究で明らかになったという。
家族や友人、近隣やサークルなど、社会的つながりが極端に少ない人のことだ。
すると、新しいことへの関心、好奇心、驚き、感動などに関する脳細胞が死んでいく「アポトーシス」現象が起こる。
勉強も、読書も、運動も、継続的にしなければ、脳は「ああ、必要ないんですね」と思い「アポトーシス」の法則が働く。
そのために必要なのが「旅・人・本」。
旅は、なにも海外や国内の旅行に行くだけとは限らない。いつもは行かない変わった場所、面白そうな勉強会やイベントへ行くという「旅」。
また、初めての人と会う、面白そうな人と話す、自分とはまったく異質な人と出会う、という「人」。
そして、「本」によって、新たな出会いや、知識、気づき、感動を得ること。
おっくうがらずに出かけること。
勇気を出して新たな人と会うこと。
そして、読書の継続。
「細胞が自分は必要とされていないと感じると、消えてしまう」
これは、人もまさに同じ。
人から必要とされる人になるため、自らを高め続けたい。
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