臨済宗全生庵住職、平井正修(しょうしゅう)氏の心に響く言葉より…

 

 

《水ノ口中(こうちゅう)ニ入(いり)冷暖自知(れいだんじち)スルガ如シ。》(山岡鉄舟/無刀流剣術大意)

 

(水が冷たいか温かいかを知りたければ、実際に飲んでみればよい。)

 

 

 

ここにある「冷暖自知」はよく使われる禅語。

 

置いてある水が温かいか冷たいかといわれても見ただけではわからない。

 

ではそれを知るにはどうしたらいいかというと、手を突っ込むか飲んでみればいい。

 

そうすれば自ずから冷たいのか温かいのかわかる。

 

 

つまり、外側から見ているだけで、「あの水は冷たいだろうか温かいだろうか」といくら考えたところで何も始まらない、ということをいっている。

 

我々は本を読んだり人の話を聞いたりして学ぶ。

 

すばらしい本を読み、すばらしい話を聞くと、感動して何か自分がステップアップしたような気になる。

 

しかし、それは勘違いだ。

 

その瞬間は確かに感動したとしても、それだけで人が成長するものではない。

 

古典の名言をいくら覚えても、それだけでは賢くはならないのと同じことだ。

 

 

大切なのは、感動した言葉、感動した話をどのように自分の日々の生活に取り入れ、生かしていくのかということ。

 

自ら体験することによって、その言葉の意味を「こういうことだったのか」と自覚していかなければなんにもならない。

 

それが「冷暖自知」ということである。

 

 

ところが、得てして人は感動しただけで終わってしまう。

 

それでも知らないより知っているほうがいいかもしれないが、それだけではもう一つ物足りない。 

 

 

全生庵では今、月に二回、安岡正篤先生のお孫さんの安岡定子さんに来ていただいて子供たちに『論語』を教えている。

 

『論語』の素読を一時間、そのあとに十五分ぐらいの坐禅をする。 

 

子供に『論語』を教えてもしょうがないという人もいる。

 

確かに素読というのは言葉だけを反復して覚えていくから、子供たちには字面上の意味だけしかわかるまい。

 

あるいは字面上の意味すらわからないかもしれない。 

 

 

だが、今はわからなくとも、ある年齢に達してさまざまな経験をしていく中で、ふと「そういえば昔、『論語』を教わった中にこんな言葉があったな。ああ、あれは今自分が体験したようなことをいっていたのか」と気づいてもらえばいいと思っている。

 

そこで初めてその子にとって『論語』というものが生きてくる。 

 

だから何も知らないよりは知っていたほうがいいには違いない。

 

 

ただし、子供のうちはそれでもいいが、大人になってから物を読み、あるいは話を聞いて感動したというのであれば、それが自分の中で生きた言葉となるように、積極的に実践していくこ とが大切だろう。

 

せっかくの学問、「冷暖自知」していかなければ学んだかいがないというものだ。

 

 

活学新書 山岡鉄舟 修養訓』致知出版社

活学新書 山岡鉄舟 修養訓

 

 

 

 

 

 

行徳哲男師は「感奮語録/致知出版社」の中でこう語っている。

 

「現代人は考えすぎる。

 

しかし、考えて解決する問題など皆無である。

 

問題を解決するには行動するしかない。

 

考えることは行動にブレーキをかける。

 

考えるから行動しない。

 

行動渋滞が起きる。

 

行動しなければ証は何も得られない。

 

禅の教えにもある。『行ずれば証はそのうちにあり。行ぜずして証は得ることなし』と」

 

 

どんなことも、やってみなければわからない。

 

頭の中でこねくりまわしているだけでは、物事は、1ミリたりとも動かないからだ。

 

考えれば考えるほど、動けなくなる。

 

 

そして、一歩動けば、そこから勇気が湧いてくる。

 

勇気は、行動することによって生まれるからだ。

 

 

「道徳とは、自分が行うべきもので、人に対して、説教すべきものではない」

 

と言ったのは、森信三先生。

 

 

すべての格言や、箴言もまた、かくの如し。

 

「冷暖自知」

 

黙々と実践する人でありたい。

 

 

 

活学新書 山岡鉄舟 修養訓

 

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