医師、帯津良一氏の心に響く言葉より…

 

 

貝原益軒の『養生訓』の研究家として知られる立川昭二先生によれば、益軒が『養生訓』のなかで説いているのは長寿でもなければ無病でもない。

 

粋(いき)な生活をしなさいということである。 

 

 

酒は天の美禄(びろく)であるといい、22歳も年下の奥さんを愛し、自然を愛し旅を愛し、読書に親しみながら、莫大な著作を物にしているのだから、たしかに、ではある。 

 

「酒は天の美禄なり。少のめば陽気を助け、血気をやはらげ、食気をめぐらし、愁(うれい)を去り、興(きょう)を発して、甚(はなはだ)人に益あり。」 

 

これだけでも十分なのに、さらにいう。 

 

 

「客に馳走するときも、むやみに酒を勧めて苦しませるのは思いやりがないことだ。 深酔いさせるのも禁物である」 

 

一方、「客は主人が勧めなくても日頃より多く飲んで酔う。主人は酒をやたらと勧めず、客はいたずらに遠慮せず、程よく酔って共に楽しむのがいちばんよい」というのだから、これを粋と言わず何と言う。 

 

 

粋といえば、何といっても『「いき」の構造』(九鬼周造、岩波文庫、1979)だろう。

 

ここでは「いき」を定義して、「垢抜けして(諦)、張りのある(意気地・いくじ)、色っぽさ(媚態・びたい)」と定義している。

 

 

垢抜けしているとは、諦念(ていねん)を上手に使うことだという。

 

いかにすばらしいことでも、最後まで追求すればよいというものではなく、適当な位置取りであきらめることによって、すべてが丸く収まるのだ。

 

 

また自分の生涯をかけた目標に気力をもって向かうのが意気地だが、ライバルが現れたら道を譲ることも必要だ。

 

そして最後の媚態すなわち色気だ。

 

色気の始まりは生命のあふれ出ること。

 

いつも躍動する心を抱いて事に臨むことだ。

 

 

粋に生きるとはなんとも「いき」なことではないか。 

 

しかも、生命があふれ出るときた。

 

色気とは、昆虫におけるフェロモンのような、異性を惹きつける物質を出しているのと同じ状態という可能性はあるが、これはまだ人間では証明されてはいない。

 

あるいは、体内のエントロピーがあふれ出ることによって、体内の秩序性が高まり、色気につながると想像できなくもない。

 

 

不養生訓 帯津良一ときめきのススメ』山と渓谷社

不養生訓 帯津良一ときめきのススメ

 

 

 

 

 

「いき」の定義は、「1.垢抜けして(諦)、2.張りのある(意気地・いくじ)、3.色っぽさ(媚態・びたい)」だという。

 

 

1.「諦め」とは、執着しないこと、執着を手放すことだ。

 

執着が強い人は、過去を手放せない。

 

過去の、失敗や悲しかったこと、つらかったことを何度も思い出しては、自分でテンションを下げてしまう。

 

あるいは、「欲」に恬淡(てんたん)することだ。

 

まさに「行雲流水」の境地だ。

 

行雲流水とは、空を行く雲と流れる水のように、「執着しない」「物事にこだわらない」「自然の成り行きに任せて行動する」ことを言う。

 

 

2.「意気地(いくじ)」とは、ある種のやせ我慢であり、物事をやり通すという気概や、他に負けまいとする意地のようなものだ。

 

「武士は食わねど高楊枝」というように、たとえ生活に窮しても、気位を高く持ち、恥ずかしいことをしないということ。

 

その根底にあるのは、弱者や敗者に対する思いやり、すなわち「惻隠(そくいん)の情」だ。

 

 

3.「媚態」とは、人におもねることではない。

 

男性にも女性にもモテる、という魅力があることだ。

 

人の魅力は「与えること」によって生じる。

 

与えるとは、「お金(ケチは嫌われる)」だけではなく、「はじけるような笑顔」や「機嫌がいいこと」「明るさ」も大事な要素だ。

 

それは、愛敬があるということでもある。

 

 

粋な生活を目指したい。

 

 

 

不養生訓 帯津良一ときめきのススメ

 

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