中野信子氏の心に響く言葉より…

 

 

中国の古典に『水滸伝』という物語がありますね。

 

これは通俗小説として読まれたものですが、示唆的な内容が含まれています。

 

主人公である宋江(そうこう)の周りには豪傑がたくさん集まり、梁山泊(りょうざんぱく)という沼地に拠点をつくります。

 

 

豪傑たちはそれぞれに、一芸ともいうべき特技があるのですが、宋江には突出した何かがあるわけではありません。

 

「何でこの男がリーダーなのだろう?」と思って読み進める方も少なくないようですが、彼にはじつは1つだけ才能があるのです。

 

それは、人の能力を見抜くという才能です。

 

 

『水滸伝』という物語の大きな主題の1つは、そこにあるといっていいでしょう。

 

社長になる人や、リーダーになるというとき、自分だけでなんでもできるという人は、小さい組織の長、あるいは期間限定の組織の長に向いた人です。

 

小さい組織であれば1人のカリスマがいればまとまりますし、永続的でない組織なら後継者を育てる必要もありません。

 

ですが、組織が大きくなってきたり、長く続く組織にしていきたいという場合には、組織の長個人だけが突出した能力を持つよりも、周りの人を動かすことを心がけるほうがずっと効果的です。

 

 

では、才能がある人を使うにはどうすればいいか?なによりも、褒めることです。

 

そして、人の褒め方にはコツがあります。

 

ジョハリの窓という自己開示のモデルがありますが、「自分では気づいていないが、他人が気づいている」というところを探して褒めるといいのです。

 

相手が自分の心の窓を開こうとする、その窓枠にグリースでも塗ってあげるようなイメージで、相手が気づいていないところを褒めていきましょう。

 

また、当然のことですが、ウソくさい内容ではなく、リアリティがあることを褒めてください。

 

少なくとも、可能性ぐらいは確実にあるようなことです。

 

 

 

人を動かすというときに、相手の長所を見抜く力は本当に大事です。

 

人は自分のことを理解してくれたとか、自分の話を聞いてくれたとか、自分でも気づかないいいところを見抜いてもらい、使ってもらえた、ということをとてもうれしく感じる性質があります。 

 

そして、関心を持ってもらえると、相手に好意を持つのです。 

 

僕を見ていてくれた、見抜いてくれたからこの人のためになんかしよう、自分1人では小さな人生しか生きられないけれど、「この人について行ったら自分の才能を生かせるかもしれない」と思わせる力が、優れたリーダーには必要です。 

 

 

だから、たとえ自分では動いていないように見えても、人を見抜く力を持った人は、とても優れたリーダーなのです。

 

自分で無駄な努力をしてしまわないリーダーです。

 

できることを、できる人に任せる。

 

チームとしては最高のパフォーマンスを維持できるはずです。 

 

 

人間社会は使う側と使われる側という二極しかないという単純なものではありません。

 

 例に挙げた『水滸伝』の主人公・宋江は、豪傑たちを使っているようでいて、彼らに使われているという構造にもなっているからです。

 

お互いに使ったり使われたりして才能を補い合っているのです。

 

 

努力不要論』フォレスト出版

努力不要論

 

 

 

 

 

 

 

 

本書の中に「ほめかた」についてこんなことが書いてありました。

 

 

『人たらしと呼ばれるような人は、人を褒めてその心を開かせるのが本当に上手です。

 

たとえば人を褒めるとき、

 

A「そのネクタイ、素敵ですね」 

 

B「いつも赤いネクタイをしてらっしゃるけど、今日は青ですね。どちらも素敵ですけど、決断力のある〇〇さんには、やっぱりはっきりした色がよく映えますね」 

 

どちらの褒め方がいいか、比べるまでもありませんね。 

 

Aは単純にモノを褒めているだけです。

 

間接的に、持ち主を持ち上げていることにはなっていますが、そこで話が終わってしまいます。

 

一方、Bの褒め方には、「いつもあなたのことを見ていますよ」というメッセージが込められているのです。 

 

1つには、ネクタイのことも見ている、そして、決断力があるという性格もプラスに評価していますよ、ということをさりげなく伝えることに成功しているのです。 

 

どうやって相手の心に分け入っていくか、これは知恵の使いどころで、工夫するのが 楽しい場面ではないでしょうか。 』

 

 

 

心理学のTA(交流分析)に「ターゲットストローク」というものがあります。

 

相手の気持ちの核心をつくような「ほめ言葉」であり、いわば「ころし文句」のことです。

 

心の底で、もっとも「ほめてもらいたい」と思っているようなことを、賞賛したり、評価したり、認めたりすることです。

 

 

水滸伝の宋江の「人の能力を見抜く才能」は、言い換えれば、「いいところ探しの達人」ということです。

 

多くの人は、放っておくと「あら探しの達人」になってしまいます。

 

短所や悪いところの方が目につくからです。

 

 

それは、習慣を変えるしかありません。

 

普段から、意識して「いいところ」「長所」にスポットライトを当てるようにすることです。

 

 

つまり、小林正観さんのいう「見方道」です。

 

ものの見方を一生かけて会得していくことです。

 

人の「いいところ」を探すのか、「悪いところ」を見つけるのか。

 

見方一つで人生は変わります。

 

 

人の能力を見抜くことができる人でありたいと思います。

 

 

 

 

努力不要論

 

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