25年7月に読んだ本 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

7月は私の地元、文京区に纏わる本を3冊。

 

◆「谷根千」地図で時間旅行(森まゆみ)
私は実家が小石川で小中学校が西片、本郷通りを挟んで谷根千の反対側が地元、子供の頃の記憶に大人になってからの街歩きの情報が上書きされ、すべての場所に土地勘あり、「青の場所が当時はこんな風だったんだ」と大変興味深く読ませていただきました。森さんのお母さんと伯母様の話が面白かった。藍染川、暗渠好きなので、私も源流から不忍池まで川跡を辿りました。
 

◆鴎外の坂(森まゆみ)
森鴎外は作品を数点読んだだけだったのですが、この本のおかげで一気に鴎外通になった気がします。著者の森まゆみさんは文京区立誠之小学校の先輩、鴎外のご子息たちも誠之小学校だったのですね、知らなかった。

著者の執拗に鴎外の足跡を辿るその様子はまるでストーカー、千駄木以外にも向島、千住、上野、古地図アプリを片手に読み進めました。秋になったら、私も実際に歩いてみたいと思います。

◆雁(森鴎外)
「無縁坂」というとついさだまさしさんの曲を思い浮かべてしまうが、これは明治の初期の無縁坂を舞台にした話。あの辺りはこんな風だったのだなと当時の情景を想像しながら読了。「お玉のモデルは鴎外の愛人」なんて話が前出の「鴎外の坂」にあり、そんなことも思いながら読みました。

◆新イラスト版 コロボックル物語1 だれも知らない小さな国 (コロボックル物語 新イラスト版 1)
先月読んだ朝倉かすみさんの「よむよむかたる」、これは元ネタも読んでみなくてはと手に取りました。

昭和30年代には、コロボックルたちが住んでいてもおかしくない里山の風景が広がっていたのかな。ジブリの「借りぐらしのアリエッティ」を思い出しました。というか、こっちが元ネタか。

◆愛じゃないならこれは何(斜線堂有紀)
斜線堂有紀さん、ミステリーの人という印象だったんだけど、これは何とも軽妙な恋愛モノ、というか歪な愛の形に苦しみ悩む女性たちの短編集。こういうものも書くんですね。面白かった。

◆営繕かるかや怪異譚 その参(小野不由美) 

このシリーズも早や3巻目。田舎の城下町の家に纏わるホラーを最後に登場する営繕屋の尾幡さんがあざやかというか、なんとなく?解決っぽくしちゃう、独特の味わい、安定の面白さ。

◆禁忌の子(山口美桜)
第34回鮎川哲也賞受賞、今年の本屋大賞ノミネート作品。導入部が巧みですっとストーリーに入っていけました。事件のカギを握る主人公の出生の秘密のヴェールが少しずつ剥がされていく、でもこのまま終わるわけないよなと思ったら最後のどんでん返し。新人らしからぬ作品でした。

 

◆箱庭クロニクル(坂崎かおる)
初読みの作家さんの短編集。短編が5つに掌編が一つ、それぞれに題材は違えども、それぞれに共通するのはちょっと不思議な世界観、ジャンルはといえば、やはりファンタジー、なのだろうか。裏切り、孤独、共感、連帯、どれも味わいのある作品だったけど、「ベルを鳴らして」が一番良かったかな。

◆宵を待つ月の物語 一 (顎木あくみ)
顎木さんの新作ファンタジー。箸休めに。

◆薬屋のひとりごと 5 (日向 夏)
アニメ、ここまで位は進むよねと予想して買って読んだけど、4巻までで終わっちゃった💦

◆100分間で楽しむ名作小説 夜市 (恒川 光太郎)
恒川さん初読み。短いけど、ぎっしりつまった、不思議な味わいのある作品でした。でもこの分量で600円はちょっとなー。