25年6月に読んだ本 | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

6月はわずかに8冊。

この本にすっかりペースを崩されました。

◆虚史のリズム(奥泉 光)
約1100ページの大書、意地で読み終えた。

重たくて腕が疲れる、物理的に読みにくい。かと思うと主人公がドブネズミになったり、でも深読みする気力もなく、ただただページを繰りました。題材は興味深く、半分くらいの長さだったら面白く読めたと思います。

◆梅の実るまで:茅野淳之介幕末日乗
本来軍事政権だった徳川幕府は200余年の平和な日々の中で極めて非効率な官僚組織にならざるを得なかった。支配階級なのに仕事のない小普請組の下級武士の生活は貨幣経済の進展とともに困窮を極めた。そして幕末、価値観の大転換期の狂騒と混乱に否応なく巻き込まれ、翻弄される主人公たち。時流に乗らず古い価値観に殉じようとする愚直な彼らの生きざまに共感した。

◆女の国会(新川 帆立)
「元彼の遺言状」の新川帆立さんの最新作にして今年の山本周五郎賞受賞作。ミステリー要素はあるものの、軽妙で読みやすい、それでいて男社会の日本の現状を体現するような、あるあるの出来事連発で、なかなか読みごたえがありました。

◆彼女が探偵でなければ(逸木 裕)
先入観や周囲の噂に惑わされず、真実を紐解くことにとことん執着するみどりさん、探偵社で人を使う立場になり、二児の母になっても、その本性は変わることがない。5作品の短編連作、いささか異常とも思える探偵役のみどりさんのキャラも良いし、ミステリーそのものもひねりが聞いていて、クルド人の少年の話とか考えさせられるテーマもあり、とても面白かった。今年のマイミステリー1位かも。

◆よむよむかたる(朝倉 かすみ)
小樽、行きました!運河とかは観光客であふれてましたけど、ロープウェイの搭乗口までバスで向かったその道は、なるほどいかにもシトロンがありそうな坂道でした。年を取るってことは子どもに還るってことなんだなとグダグダな「坂の途中で本を読む会」の会合の有様を読んで思いました。後期高齢者と若者のふれあいの物語、ちょっとしたミステリー要素もあって退屈せず、ほのぼのと読ませていただきました。

◆古希に乾杯! ヨレヨレ人生も、また楽し(弘兼 憲史)
「課長 島耕作」の弘兼さんの人生論、全くもってほぼ同感で、納得しながら読ませていただきました。私も着々と良い老人になる準備ができているようです。

◆ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団〈新装版〉 (5-1、5-2)(J.K.ローリング)
ずっと昔、原書で「賢者の石」から「炎のゴブレット」まで読んだが、だんだん分厚くなる本に、この「不死鳥の騎士団」は途中で挫折。今般スタジオツアーに行くことになり、もう英語は無理なので日本語版で続きを読むことにした。映画は視聴済みだけど、原作は映画より長い、まだ2巻もある、、、