出張が2回、国内旅行が1回、9月は何かと忙しくて、読書に集中できませんでした。
読んだ本は9冊のみ。
◆木挽町のあだ討ち
先月の「極楽征夷大将軍」に続いて直木賞受賞作を読了、
「極楽、、」は正統派歴史小説でしたが、こちらは直木賞らしいひねりのきいた時代小説。武家ならではのややこしい事情のあだ討ちに、悪所と呼ばれた芝居小屋の関係者が協力する人情噺。ミステリー要素もあって楽しく読めました。
◆踏切の幽霊(高野和明)
こちらは直木賞候補作。
高野和明さんのホラー。べたなタイトル通りの幽霊譚、ひょんなことから妻を亡くして生きる意欲を失った元新聞記者がその真相に迫ります。薄幸の女性の正体が明らかになるにつれ記者魂に灯がともっていく、読み応えのある一策でした。
◆魔女と過ごした七日間(東野圭吾)
ラプラスの魔女シリーズ3作目。DNAなど機微な個人情報が警察にさらされている近未来(並行社会?)で、森羅万象が予測できてしまう羽原円華が活躍する一風変わったミステリー・シリーズ。読みやすい東野さんの筆力、今回も面白く読ませていただきました。
夏の文庫本フェア、ページを繰る手が遅々として進まず、積読本が積みあがるばかりなのですが、何とか6冊。
◆おいしい旅 初めて編 (角川文庫)
福井、富山と旅行に出たので、そのおともに持参した1冊。
近藤史恵さん、坂本司さんと、あとは知らない作家さん5名の旅に纏わるアンソロジー。偶然だったりちょっとしたきっかけだったりで旅に出た主人公の旅先での体験、新しい発見。旅はいいですねー。
◆おいしい旅 想い出編 (角川文庫)
初めて編に続いて読了、旅に絡めた、心温まるエピソードのアンソロジー、楽しませていただきました。
◆ecriture 新人作家・杉浦李奈の推論 (松岡 圭祐、角川文庫)
松岡さんというと最近読んだ本と言えば「高校事変」と「小説家になって億を稼ごう」、そのイメージが強かったので、こういうミステリーも書くんだとちょっと意外な感じ。盗作疑惑が実は思いもよらぬ殺人事件というなかなかに面白い展開でした。さっそくシリーズものになっているので、その辺の手法は「小説家になって億を稼ごう」の通りか。こういう作品は主人公のキャラ次第、李奈さん、今後どう変わっていくのでしょうか。
◆マリコ、うまくいくよ (益田 ミリ。新潮文庫)
今から10年くらい前なのかな。閉そく感の漂う、ガラスの天井がしっかりはまった中堅企業に勤める3人のマリコさんの「あるある」のお話。周囲に流されながらもつましく、たくましく生きる彼女らの会社人生にほのぼのしたり、ちょっと残念だったり。
◆一汁一菜でよいという提案 (土井 善晴、新潮文庫)
良い本を読ませていただきました。ハレとケ、四季の食材、母の愛情、縄文文化、いちいちなるほどです。同時に、コンビニ弁当、レトルト、冷食、チェーン店での外食、自分はいかに真逆の食事をしていることか。そういえば、具沢山の味噌汁、長らくのんでないよなー。
◆ぎょらん (町田 そのこ、新潮文庫)
独特のひりひり感がたまらない著者の、「ぎょらん」「夜明けのはて」「冬越しのさくら」「糸を渡す」「あおい落葉」「珠の向こう側」「赤はこれから」、死者が残すという赤い珠に纏わる短編が7編。死に纏わる負の感情にどうぢても取り込まれてしまう登場人物たち。私の最近父を亡くしましたもので、、、でも残された者はこれからも精いっぱい生きていかなければならなくて、死者も黄とそれを望んでいるはずで。心動かされる、でも乗り越えていこうと前向きにさせる作品でした。