第94回アカデミー賞で、濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞(旧外国語映画賞)を受賞!
映画は、遅ればせながらですが、割と最近視聴しました。
原作は村上春樹さんの同名の短編小説ですが、原作は未読。3時間近い長編映画なので、いるいろと映画ならではの加筆がされた脚本になっているのでしょう。原作も読んでみなきゃですよね。
さて、映画ですが、冒頭からいきなりセックスシーンです!
演出家の家福(西島秀俊)と脚本家であるその妻・音(霧島と.うか)がソファで交わっている。音はエクスタシーの余韻に浸りながら、女子高生が男子生徒の家に空き巣に入る話を口述しはじめる。でも、本人はそれをはっきり覚えていないらしく、翌日、家福が運転する車の中で二人はそのプロットを確認し合う。このあたり、いかにも村上春樹さんらしい。霧島さんの49歳とは思えぬ素敵な裸の背中が印象的。
ある日、家福は妻がこともあろうに同じソファで男とセックスをしているのを目撃するが、そのまま黙って自宅を後にする。二人の関係が壊れてしまうのを恐れた彼は、妻の不倫に気づかないふりをしてしまうのだ。そんな彼の心を知ってか知らずか、妻は「今夜帰ってきたら話がある」と言い残したまま、クモ膜下内出血で亡くなってしまう。序盤はとにかくこんな感じの息もつかせぬ急展開。
その2年後、。家福は広島の国際演劇祭でチェーホフの「ワーニャ伯父さん」の演出することになる。稽古場面では韓国語手話を含む多言語のセリフが交わされる。こんな演劇があるのか。さらに家福は、役者の困惑や摩擦も意に介さず、本読みでセリフをゆっくり棒読みさせる。何ともユニークな演出である。
この広島の地で、専属運転手となったみさき(三浦透子)や、主役の俳優の高槻(岡田将生)らの登場人物との関わり合いを通じて、家福は妻を亡くした喪失感と向き合っていくのだが、、、
15年落ちの家福の赤いサーブがレトロでかっこいい。瀬戸内の港町や、後半で登場する北海道の雪景色の大地がなんとも美しいロードムービーでもある。
最初は自分の車を他人に運転させることを嫌った家福だが、寡黙な女性ドライバー・みさきの優しい運転と、その凄まじい過去を知り、徐々に彼女に心を開いていく。
美しいけど地味な映画、これがアカデミー賞まで取るとは。ちなみに日本映画の同賞受賞は2009年の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)以来13年ぶりとのことだそうで、「おくりびと」は何となく海外受けしそうな題材だったけど、本作はどこが受けたのかな。
蛇足ですが、ラストのみさきがサーブに乗って韓国にいるシーンは、謎でした。