20年ほど前にビッグコミック・スピリッツを愛読していた時期があって、その頃、断続的に同誌に連載されていた漫画。今年の7月、石原さとみ主演で、今更ながらTVドラマになった。ドラマのどの回のストーリーも、うっすらと読んだ記憶があったのだが、最終回だけは記憶なし、楽しく視聴させていただいたのだが、「こんな終わり方はあり?」と思い、改めて原作のコミックを読んでみた。
駅から遠くてしかも墓場のそば、最低の立地のフレンチレストラン、ロワン・ディシー(仏語で「この世の果て」の意)で繰り広げられるコメディなのだが、要は、自己中心、傍若無人、我田引水なレストランオーナー・黒須仮名子(正体は二流ミステリー作家)に振り回され続ける従業員たちのお話。主人公はホールスタッフの伊賀くん、真面目で融通が利かない性格が災いし別のお店でお客様とトラブルになり、落ち込んでいるところを、仮名子に、「レストランで大切なことはお客様との距離感、あなたは立派なサービスマンになるわ」と口から出まかせで誘われ入店する。(この仮名子の「レストランで一番大切なことは○○」は、相手によって変わる。)
TVドラマのヒロインは石原さとみさん。あの黒須仮名子が石原さとみ?ちょっと正統派美人過ぎないか、(自分がファンのせいもあるが)多部未華子あたりがはまり役なのではないか、などと思いながらも、そこはやはりベテラン女優、ファッションを含め、中々にゴージャスで素敵な黒須オーナーっぷりだった。
伊賀くん役の福士蒼汰さんをはじめ、同じくホールスタッフの川合くん(志尊淳)、ソムリエの山縣さん(岸辺一徳)は私のイメージ通り。
で、最終回なのだけど、ロワン・ディシーは火事で閉店、店は伊賀くんが彼の長崎の実家で名前を引き継いで開店、その後も場所を転々としながらこの店を続けていく。ラストシーンは40年後、神々の楽園?のバリ島で初老を迎えた伊賀くんのロワン・ディシーに黒須仮名子が客として訪れるというもの。これ、なんと原作のとおり。コミックを読む限りではなかなか映像化が難しそうな作品なのだが、他の部分も割と原作に忠実な脚本になっていた。
最後の「あなたが立派なサービスマンになったかどうか見に来たのよ」という仮名子のことばが第一話につながる、なにかよさげなラストだったわけだが、基本的には加奈子に振り回される男たちのコメディーで、とても懐かしく読ませていただいた。


