「機龍警察 狼眼殺手」(月村 良衛) | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

機龍警察

 

昨年の「このミス」をはじめミステリーランキングにランクインしていたので手に取ってみたのですが、「機龍警察」シリーズ5作目みたいですね。前の4作を読まずにいきなりこれを読んでしまいました。

警視庁所属の龍機兵という小型(身長3mとか)のモビルスーツもの、何やら往年のゆうきまさみさんの名作「機動警察パトレイバー」っぽい設定? そう思って読めば特捜部も特殊車両二課も、本拠地は桜田門ではなく湾岸地域で、何とはなしに警察組織からのはずれもの扱いされているっぽい。でも操縦するのは、パトレイバーが正規の巡査なのに対し、龍機兵は訳アリの傭兵3人。捜査一課、捜査二課、公安、そして特捜部、警察内部の対立もストーリーの主軸のひとつで、話がややこしい。

 

本作ですが、経産省とフォン・コーポレーションが進める日中合同プロジェクト『クイアコン』に絡む一大疑獄、さらに関係者が次々と殺害されていく連続殺人事件も発生。特捜部は捜査一課、二課と合同で捜査に着手しますが、謎の暗殺者に翻弄されるばかり。中盤で、狼眼殺手と中国風の名前で呼ばれる殺し屋がエンダというアイルランド人の凄腕テロリストと判明、龍機兵の操縦者であるライザとの因縁も次々と明らかになり、話は盛り上がっていきます。

ところが、どこで龍機兵が出動するのかなって思ったら最後まで出ずじまいで、やや肩透かしをくらった感じ。でも、ライザ対エンダの宿命の対決、楽しめました。 

ただ、シリーズで読んでないせいなのかな、エンダを雇った「敵」の正体は、トカゲのしっぽ切りで私には分からないまま。不完全燃焼?やっぱ、最初から読まないとだめなのかなー。