乱歩作品の中ではややマイナーな位置づけの作品になるのかな。「石榴」「押絵と旅する男」「人でなしの恋」は既読だった。他に「目羅博士」「白昼夢」「踊る一寸法師」「陰獣」の計7作。
自由研究、懐かしいですね。子供には子供なりの疑問がある。
どんなストーリーかは知ってたけど、読んだのは初めて。ヒロインのジュディは孤児なのに自由闊達、育った孤児院や院長先生に対する言いたい放題、同僚のジュリアも最初は悪口を言ってたのがいつの間にか仲良しに。ほぼ全編書簡体の小説だが、その手紙の表現や絵心が全く感じられない挿絵がユニーク。
このシリーズは2冊目、今回のは長編、密室殺人モノ。
今年の「新潮文庫の100冊」、いつもの「吾輩は猫である」かと思ったら、これだった。猫目線の短編、夫々の作家さんの個性が出てて面白かった。ちなみに私は犬派だが、あの過剰なまとわりつきに、時々猫もいいかなと思う時がある。
少女マンガ感覚で読んだ。第二巻でアオヤマさんの修業時代のエピソードが語られるわけだが、まあ、ライトな話に急にシリアスが入ってもねー、突然の暗号もなんか違和感。これがなぜ2冊も「新潮文庫の100冊」に???
4回目くらいの再読だが、読む都度新しい発見がある。大東亜戦争の敗戦という日本の歴史の大転換期、それまでの歴史がリセットされ、特権階級は没落を余儀なくされ、新しい歴史の主役が登場する。没落する側は、凛として古い価値観に殉じる者、新しい価値観に迎合しようとするもプライドが邪魔してできない者、斜に構えて自ら破滅に向かう者、一矢報いようと無謀な戦いを挑む者、人生いろいろだ。この作品は、悲劇と喜劇が交差する、光と影のレクイエム。
澤村さんのホラーは「ずうのめ人形」と続いて2冊目だが、こっちがデビュー作、シリーズ1作目。なるほど、怖い。ぼぎわんなんて変な名前の怪異、初めて聞いた。それに強い。岡田准一さんで映画化されるだが、どんな映画になるか楽しみ。
ナギ少年の住むクマソは卑弥呼の邪馬台国に攻め滅ぼされ、邪馬台国は馬に乗った天孫属ニニギノミコト(=神武天皇)に攻め滅ぼされる。不死を求め火の鳥を探し求め、結局死んでしまう卑弥呼と、不死などということに見向きもしない勝者ニニギノミコトが対照的。
ほぼ全編が74歳の老女の内面を映し出すモノローグ、人生を積み重ねた末の孤独が、悲しかったり、ユーモラスだったり、少しだけ明るかったり。ふるさとの山が出てきたり、人類の歴史の話になったり、よく全編これで押し通したものだ。ネイティブな東北弁と相まって、なにか不思議な小説だった。
前作「孤狼の血」の続編、日岡巡査は一時は左遷されるも復活して、亡き大上刑事の跡を継いで大活躍みたいな記述があったが、これはその左遷時代のエピソード。広島ヤクザ抗争の内幕、極道の真実、今回の主役は警官の日岡というよりもヤクザの国光。理屈抜きにシビれる、熱くて面白いエンターテインメント。
交通事故で発覚した父と女優の不倫疑惑、押し寄せる世間の悪意、そして早苗と小5の力の母子の逃避行。四万十、家島、そして別府温泉、地元の人たちとのふれあいに、母子はたくましく成長していく。息子の部屋にあった血糊のついた包丁の真実は?心温まるサスペンスミステリー。
SEKAI NO OWARIを全く知らない人が読むと(実は私もあまりよく知らない)、前半と後半が違う話になっているような、何となくおさまりの悪い小説を読んだという印象を受けるのではないだろうか。なぜこれが直木賞候補に?
でも、これは「SEKAI NO OWARI 」結成までの体験談を小説にまとめたもの、そういう風に読んだ方が直に心に落ちてくる。
もう13作目か、、、偉大なるマンネリに乾杯って感じ。
規模も、そして人間的にも、少しずつ成長していく堀田ファミリーとそれを取り巻く人たち。今回は何と言っても花陽の医大合格。と思ったら、花陽も、研人も、早くもちゃっかり一生を共にしそうなお相手が出来ていて、大人になっちゃったんだな、と。さて、来年はいよいよかんなちゃん、鈴花ちゃんが小学生!
◆幼女戦記 6 Nil admirari(カルロ・ゼン)
今回はターニャの華々しい戦場での活躍は無し。東部戦線は膠着状態。春を迎え南方で同盟国イルドアが不穏な動きをすると首都近郊に再配備、北部で多国籍軍が陽動を開始すると北方に転進。四面楚歌の状況にターニャは非公式に講和を進言するが、戦闘では勝利をしている帝国で受け入れられるはずもない。
状況が実にリアル。戦争は政治の延長、その政治やマスコミが現状を直視できなければ、正論は抹殺される。一人メタ視点を持つターニャも、なすすべもなく破滅に向かっていくのか。
◆他人をバカにしたがる男たち (日経プレミアシリーズ)(河合薫)
「ああ、いるよね、こういう人」という以前に、「自分がこうなってはいけない」と強く思う。次の世代に任せることは任すとともに、自分は彼らに何をしてあげられるかを強く意識して、今の環境で出来ることをしっかりやっていこう。「ん?」と思う部分もありましたが、面白くも胸に刺さる1冊、一気読みでした。
TVのおさらいに。別府の鉄輪温泉、砂浜の砂湯、ちょうどこの本の前に読んだ辻村深月さんの「青空と逃げる」にでてきた。