孤児院で育ったジュディの人生に、とびきりのチャンスと幸せが舞い込んできた。名を名乗らない裕福な紳士が、奨学金を出して彼女を大学に通わせてくれるという。ただし条件がひとつ。毎月、手紙を書いて送ること。ジュディは謎の紳士を「あしながおじさん」と呼び、持ち前のユーモアがあふれた手紙を書き続けるのだが―。最高に素敵なハッピーエンドが待ち受ける、エバーグリーンな名作。(「BOOK」データベースより)
もちろんどんなストーリーかは知ってましたけど、ちゃんと読んだのは初めてかも。面白くてあっという間に読んでしまいました。何といってもヒロインのジュディ・アボットの、孤児にもかかわらず自由闊達なキャラ、赤毛のアンのアン・シャーリーと双璧かな。
育った孤児院やその院長先生に対する言いたい放題、同僚のジュリア・ペンドルトンに対する悪口、でもそのジュリアとはいつの間にか仲良しになっている。ほぼ全編にわたって書簡体の小説なのですが、そのあしながおじさんに当てた手紙がとにかくユニーク。絵心というものが全く感じられない挿絵がまたユニーク。
その手紙の中に、中盤以降しばしば登場することになるジャービー・ペンドルトンという男性、例えストーリーを知らなくとも、「ははん」と思いますよね。それに全く気が付かないジュディがまた何ともじれったい。
それと同時にアメリカという国のすごさ、新しさも感じました。時は20世紀の初頭、特権階級の男性が孤児と結婚するとは、当時の日本や旧大陸の国では、ありえなすぎて小説としても成立しなかったのではないでしょうか。ジュディの口から、婦人参政権とか、社会主義とかいう言葉も出てきます。これもまたありえないこと。
とても素敵なハッピーエンドの、(当時としては)何とも斬新なラブストーリー、古き良きアメリカを体現した小説です。