18年6月に読んだ本(続き) | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

(続き)直木賞候補4冊、カドフェス本8冊以外はけっこうジャンルはバラバラ。

2018年の「新潮文庫の100冊」もチャレンジ開始。

◆盗賊会社
毎年必ず1冊は入っている星新一さんのショート・ショート、今年はこれでした。いつも通りの面白さでした。

 

◆西郷の首(伊東 潤)
明治維新という価値観の大転換期に、水戸藩や加賀藩は尊攘派を徹底的に粛清したから維新の表舞台に出られず、薩長は下関戦争や薩英戦争で外国に完敗したから開国討幕に舵を切れた。武士が太平の世で官僚になり藩の官僚組織は無駄だらけ、このままでは国の近代化は無理。維新は極めて暴力的で徹底的な過去の仕組みのリセットだけど、こうでもしなければ日本は自主独立を保てなかったと思う。

 

◆逆説の日本史23: 明治揺籃編 琉球処分と廃仏毀釈の謎(井沢 元彦)
「廃仏毀釈」と「琉球処分」、教科書ではあまり詳しく語られないテーマで大変楽しみに手に取ったのだが、半分くらいまでは歴史ではなく朝日新聞批判と韓国批判。これ朝日新聞が誤報を謝罪した頃に執筆したのかな。井沢さん、鬼の首を取ったような喜びよう。早く廃仏毀釈の話に入ってくれよと思ってしまった。

◆太陽と乙女(森見 登美彦)
著者お勧めのとおり、夜寝る前に布団に入って読んだが、何度も寝落ちし、想定外に読了に時間がかかった。

◆りゅうおうのおしごと! 7 (白鳥 士郎)
本編クライマックスが終わっても、相変わらず熱い「りゅうおうのおしごと!」今回は清滝師匠をはじめ、ベテラン、ロートル編。私もロートルだが、謙虚に、でもあきらめない姿勢に共感。コンピュータと将棋のかかわり方と新時代勢力の台頭に藤井翔太7段を思ってしまう。

◆ブラタモリ 11 初詣スペシャル成田山 目黒 浦安 水戸 香川(さぬきうどん・こんぴらさん)
TVのおさらいに。一番印象的だったのは「浦安」。東京に近い千葉の海岸沿いには潮干狩りに適した豊かな干潟が広がっていて、それを公害があっという間に駄目にした。でも、そのおかげでディズニーランドと住宅街の今がある。
それと、富士山や伊勢神宮の時も思ったけど、江戸時代のツーリズムって、ホントすごい。

◆軽井沢シンドローム (たがみ よしひさ)
主人公の相沢耕平くん、いつもふざけた態度を取っているが、本当は義理と人情に溢れた男で、人望がある。羨ましいことに女にもて、最終的には薫と結婚、子供も生まれるのだが、紀子、縁、まなみと3人の愛人がおり、それが皆事実を知りながら友だちづきあいをしているというハーレム状態。

耕平たちはほぼ自分と同世代。時はバブル前夜、新幹線もアウトレットもなかった軽井沢で繰り広げられる、当時としてはかなりスタイリッシュな青春群像劇。さすがに本はかなり経年劣化していたので、残念だったけど最後に通しで熟読して、資源ごみに出した。