「幼女戦記5Abyssus abyssum invocat. 」勝てば勝つほど、地獄は地獄を呼ぶ | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

幼女戦記5

 

同僚の逆恨みで命を落とした性格の悪いエリートサラリーマンが、創造主を名乗る存在Xに、孤児の少女、ターニャ・デグレチャフとして、魔法が存在する、20世紀初頭のドイツっぽい「帝国」と呼ばれる国に転生させられる。やがて帝国は周囲諸国と戦争に突入する。ターニャは、21世紀のサラリーマン時代の記憶を保持しており、その歴史知識と仕事で培った戦略・戦術論、そして卓越した魔導技術で、幼くして軍人としてのキャリアを積み上げていく。本人は後方勤務で安全な人生を送ろうと目論むのだが、本人の思惑とは裏腹に次々と手柄を立て、最前線に送り込まれ続け、「ラインの魔女」と敵国から恐れられる存在になっていく。

 

第5巻も500頁を超える大書だった。

ターニャの手柄もあって、帝国は会戦には勝ち続けるが、勝てば勝つほど敵が増え、外交下手の帝国を取り巻く環境は刻一刻と深刻になっていく。この第5巻では、いよいよソ連っぽい連邦に攻め込まれ、四面楚歌状態に。副題は”Abyssus abyssum invocat.” ラテン語で「地獄は地獄を呼ぶ」という意味だそうで。

第3巻の副題が”The finest day”だったから、3巻をピークに、これからも帝国は転落し続け、最終的には第一次、第二次世界大戦のドイツみたいなことになるのだろうけど、その歴史を知っているはずのターニャは、運命に抗えるのだろうか。

 

このシリーズは8巻まで出ていて、シリーズ合計300万部以上、TV版のアニメも高評価、劇場版アニメの制作も決まっている。

幼女戦記

それもむべなるかな。ラノベなどと侮ってはいけない。設定は荒唐無稽だが、内容はあの大戦の本質に迫るものである。