「食べたいの」(檀 蜜) 自虐ネタの切れ味にギャップ萌え!? | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

食べたいの

 

生ハムは、ピザやパスタにトッピングされ、オーブンに入れられてもまだ「生」なのか。ラブホテルで頼むピザのサイズはSMLどれが正解なのか。賞味期限切れの牛乳はいつまで「チャレンジ」できるのか。謎めく才女の脳裏に食を巡る疑問、懸念、記憶の数々が渦巻き続ける。

自分の納豆の食べ方は普通ではないのか。イメージDVDにつきものの魚肉ソーセージとはどうつきあうべきか。「食べ物」が壇蜜を語り出す。(「BOOK」データベースより)

 

檀蜜さん、面積の狭い布地や谷間を強調するドレスを着てマスコミに露出する、長い黒髪と妖艶な雰囲気を纏ったお姉さま。ルックスに違わずトークもあけすけ、檀蜜の前に檀蜜なし、自分で自分のポジションを作った、遅咲きの異色のタレントである。

都内の中高大一貫の女子校を卒業、英語科の教員免許、調理師免許、また冠婚葬祭の専門学校で遺体衛生保全士資格を取得、和菓子工場、銀座のクラブ、葬儀場と多彩な職務経験を持つ。そのキャリアのなせる技だろうか、その本質は、言動やルックスとは裏腹に、地味な才女を思わせる。

 

そんな檀蜜さんが週刊誌に連載していたエッセイをまとめたのがこの本。

本人が公言しているように、彼女自身は、これまたルックスや雰囲気とは裏腹に、味音痴であり、酒は弱く、連絡を取り合い食事に行くような友達もほとんどいないそうだ。そんな人に良くこんな表題のエッセイを書かせたものだなと思うのだが、グルメ本とは程遠い内容乍らこれが中々に面白い。食べ物の話はほとんどオマケ、過去の男性遍歴や失敗談、意外に普通な少女時代をウィットに富んだ文章で綴り、自然体の自虐ネタがさえる。

各編に挿入されている俳句と手描きの挿絵も何とも味がある。

才女ぶらないけど、そういうところが才女だよなと思う。檀蜜さん、小説、書かないのかな。