(内容)
2005年~2014年まで、「読売新聞」読書欄に掲載された書評、97本を収録。 小説、ノンフィクション、エッセイからコミックまで、あのベストセラーや話題の本、 そして独自の感性が掬い上げた名本たちを、唯一無二の視線で紹介する。連載時から「本が売れる」と話題の書評。
(感想)
未だに「渚のハイカラ人魚」を歌詞を見ないで歌えるので、そこそこはファンだったのだと思う。
82年デビュー、堀ちえみ、石川秀美、松本伊代、早見優、中森明菜、三田寛子と同期で、「花の82年組」なんて言われていたけど、自己表現や自己主張といった部分で他のアイドルとは一線を画していたという印象がある。
彼女主演の映画は、「空中庭園」「毎日かあさん」の2本を見た。
「空中庭園」は、直木賞候補になった角田光代さんの小説が原作。何事にもあけすけな仲良し家族のそれぞれの心の闇みたいな話。家族内では秘密を持たないというルールを作りながら、自らは秘密を持っている、家族の秘密も見て見ぬふりをしている、そんな欺瞞的な京橋家の主婦というかなり難しい役どころを上手に演じていた。
「毎日かあさん」は西原理恵子さんの自叙伝的な漫画が原作。元ダンナの永瀬正敏さんが離婚される夫役をやって話題になった。西原さんの描くサイバラリエコと小泉さんは似ても似つかないのでどうかなって思ってみたのだが、適度に太くなった二の腕を見て、「このサイバラエリコはありだな」「小泉さん、いい感じに歳をとっているな」とも思った。
「空中庭園」は06年、「毎日かあさん」は11年の映画、小泉さん、既にその頃はずっとこの書評を書いていたということになる。
その西原理恵子さんの「パーマネントのばら」の書評もあった。最後の一行が「港町の女たちに熱い恋心を学んでラストスパートしたい気持ちになった」とあったが、そうそう、そんな本なんだよね。
正直、自分もこんな書評を書きたいと、心から思った。
彼女の書評は、単なる書評ではなく、自分の行く末や来し方のこと、心象風景などを重ねたものが多い。そして文章は実に表現力豊かで、みずみずしい。読んだ本が自分の心の中を駆け巡っているような、そんな書評。
ちなみに、97作品中既読は14冊。結構マイナーな本や童話もあるので、全部読むということにはならなそうだが、気になった書評のものをいくつかピックアップして読んでみたい。