(内容)
「“努力”はかっこ悪いものじゃない」AKB48グループ総監督が10年間の実体験を元に語る、超実践的リーダー論。まとめる力。
(感想)
AKB48ってすごいです。10年8月の「ヘビーローテーション」からもうすぐ6年、過去ピンクレディやモーニング娘も人気の頂点にいたのはせいぜい3年ですから。ゆとりとか、横並びとか、一切そういうことはなし。夢を語り、目標に向かっていつも全力、手抜きなし、そういう姿勢がファンの共感を呼び、また彼女ら自身も成長を続けている、その結果だと思います。
その総合プロデューサー・秋元康氏をして「AKB48とは、高橋みなみのことである」と言わしめたAKB48グループ総監督・高橋みなみさんのリーダー論です。
実際にペンを取ったのが本人かどうかは別として、彼女らしい、実に実践的なリーダー論でした。
リーダーは、カリスマ的なリーダーとファシリテーター的なリーダーに大別されますが、彼女の場合は、ファシリテーター的なリーダーを極めてしまった結果、カリスマ的な高みにまで行ってしまったとでも言ったらよいのでしょうか。
当時AKB48には前田敦子という絶対的なセンターがいて、彼女はセンターにはなれない。だから彼女はリーダーというポジションを目指した。
彼女のリーダーシップのスタイルは、とにかくコミュニケーション重視、へらへらして垣根を下げる、相手の名前を呼ぶ、ありがとうを口癖にする、大丈夫?と声掛けする、愚痴(本音)を聞く、どれもなるほど、そうだよねと思えることばかり。
チーム内の人間関係形成においても、だまをほぐす(小集団を解体、かき混ぜる)って名言と思います。
スピーチの七か条も、聞き手のことを考えることから、声のトーン、間の取り方まで考えられていて、実に理に適っていて、下手なビジネス本よりよっぽど参考になります。
彼女が11年の選抜総選挙で発したことば、「努力は必ず報われるということを、私は人生をかけて証明してみせる」は、彼女そのものを表す言葉のようになってしまいましたが、信念をもってやり続けるということが、どれだけ人間を成長させ、周囲に共感を与えるか、彼女を見て実感しています。
AKBを卒業し、ソロ歌手を目指す彼女のこれからに注目していきたいと思います。