「倒れるときは前のめり」(有川浩) | 「晴走雨読」 廣丸豪の読書日記

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廣丸豪(ひろまる・ごう)と言います。日々の読書生活や、気に入った本の感想などを気ままに綴ります。

倒れるときは

(内容紹介)

『図書館戦争』『レインツリーの国』『植物図鑑』ほか映像化続々の人気作家・初のエッセイ集!
日々の生きるつれづれ、創作の裏側、大好きな本や映画、敬愛する人びと、ふるさと高知のことなど、デビュー書籍刊行前から現在までに綴った90本超に、それぞれ振り返りのコメントを書き下ろし。
現在入手困難な「ほっと文庫」に収録された短編「ゆず、香る」と、片想いがテーマの恋愛掌編「彼の本棚」の、小説2編も特別収録。
当代一の人気作家のエッセンスがここに!

 

(感想)

有川浩さんの小説を全部読んでしまったので、エッセイ本を読んでみました。

東日本震災の際の「自粛はしない」という話、表現の自主規制に反対する話、映像化する際の「相手に任せる覚悟」の話、そして高知県に対する郷土愛。一言で言って、男前な性格の人だなって思いました。

 

ところで、タイトルの「倒れるときは前のめり」、これって坂本龍馬のことばですよね。漫画の「巨人の星」で出てきました。

星一徹が、飛雄馬に「死ぬときは、たとえドブの中であっても前のめりで死にたい」という竜馬のことばを贈り、例によって飛雄馬が「がーん!」と感動し、「俺もそんな生き方を!」と決意する名シーンです。

 

ひとつだけうしろめたく思ってしまったのが「作家を育てるためにも、本を買ってください」という話。いえね、実は私、この本を図書館で借りて読んだもので。

確かに出版業界は空前の構造不況、デビューしたての作家さんが、専業で食っていくのは至難の業。1600円の本を本屋で買えば、作家さんには1割の160円が印税として入り、出版社はその利益で新しい作家さんをデビューさせることができる。

本好きとしては協力したいところなんだけど、月20冊ペースで本を読むと、ハードカバーではかかるお金が馬鹿にならない。

でも、それよりも住宅事情なんですよね。本棚のスペースは限られ、嵩張るハードカバーでは収まりきらなくなる。図書館で借りて面白かった本は、ちょうどいい再読のタイミングなので、文庫本になったときに買わせていただいています。

自分の部屋を持って、その壁面を天井までの本棚で埋め、思う存分ほんを買うのが私のささやかな夢なのですが、息子が結婚して家を出て行ってくれるまでは無理かな。