(あらすじ)
(上巻)強大な帝国・東乎瑠にのまれていく故郷を守るため、絶望的な戦いを繰り広げた戦士団“独角”。その頭であったヴァンは奴隷に落とされ、岩塩鉱に囚われていた。ある夜、一群れの不思議な犬たちが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生する。その隙に逃げ出したヴァンは幼子を拾い、ユナと名付け、育てるが―!?厳しい世界の中で未曾有の危機に立ち向かう、父と子の物語が、いまはじまる。
(下巻)不思議な犬たちと出会ってから、その身に異変が起きていたヴァン。何者かに攫われたユナを追うヴァンは、謎の病の背後にいた思いがけない存在と向き合うことになる。同じ頃、移住民だけが罹ると噂される病が広がる王幡領では、医術師ホッサルが懸命に、その治療法を探していた。ヴァンとホッサル。ふたりの男たちが、愛する人々を守るため、この地に生きる人々を救うために選んだ道は!?
(感想)
壮大な異世界ファンタジーです。
その中に、征服民と被征服民、故郷を追われた人々の心情とその戦い、仲間や家族との絆、病と生命の神秘、いろいろな要素がこれでもかと織り込まれています。
人間の体って、細菌やウィルスなど様々な微生物と共生したり、戦ったりしていて、それは社会のようでも、世界、宇宙のようでもあるのですね。
そして、タイトルの鹿の王の意味するところは、、、群れを統率する一番強い牡のことではないのですね。
ということで、これで04年~15年すべての大賞受賞作を読んだことになります。
04年 「博士の愛した数式」(小川洋子)
05年 「夜のピクニック」(恩田陸)
06年 「東京タワー」(リリー・フランキー)
07年 「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子)
08年 「ゴールデン・スランバー」(伊坂幸太郎)
09年 「告白」(湊かなえ)
10年 「天地明察」(冲方丁)
11年 「謎解きはディナーのあとで」(東山篤哉)
12年 「舟を編む」(三浦しをん)
13年 「海賊と呼ばれた男」(百田尚樹)
14年 「村上海賊の娘」(和田竜)
15年 「鹿の王」(上橋菜穂子)
16年 「羊と鋼の森」(宮下奈都)
13年、14年がちょっと異色って感じはします。やはり、総じて普通の文学賞とはちょっと違った選択で、多様で、そして映像化された作品が多いです。
さあ、「羊と鋼の森」読まなきゃ。