(あらすじ・内容)
監督が消えた! ?
伝説の天才アニメ監督・王子千晴が9年ぶりに挑む『運命戦線リデルライト』、 プロデューサーの有科香屋子が渾身の願いを込めて口説いた作品だ。
同じクールには、期待の新人監督・斎藤瞳と次々にヒットを飛ばすプロデューサー・行城理が組む『サウンドバック 奏の石』もオンエアされる。
ハケンをとるのは、はたしてどっち?
そこに絡むのはネットで話題のアニメーター・並澤和奈、聖地巡礼で観光の活性化を期待する公務員・宗森周平……。
ふたつの番組を巡り、誰かの熱意が、各人の思惑が、次から次へと謎を呼び新たな事件を起こす! 熱血お仕事小説。
(感想)
辻村深月さんの15年本屋大賞3位になった作品。
辻村さんって、ミステリーっぽいのとか、ホラーっぽいのとか、ファンタジーっぽいのとか、そういうのが多いのですが、これは意外にも正統派お仕事小説、しかもアニメ業界!
TVアニメでも「SHIROBAKO」がアニメ制作の舞台裏を描いて評判になりましたが、辻村さんも、もともとアニメ好きで、その上しっかり取材もして書かれたのでしょう、アニメに対する思い入れがすごく感じられました。
王子千晴さんのモデルは幾原邦彦さんかな。トーケイ動画はもちろん東映アニメーション。
「リデルライト」の有科さん、天然に女子力が強いのだろうけど恋愛音痴、王子くんは唯我独尊のツンデレ天才、何とも言えない取り合わせで、新進気鋭の斎藤瞳監督と辣腕っぽいプロデューサーの行城さんコンビの「サバク」とのガチ対決、
ハケンアニメなる言葉は初めて知りました。でも、DVDが売れるアニメが必ずしも記憶に残る名作ってわけでもないし、、、小説もそんな感じで、最後は勝ち負けは肩透かしで、それよりもアニメ愛だったので、すごく納得しています。
3話の中で一番気に入ったのは、最後の神アニメーターの並澤さんと、ローカルリア充男子の宗森さんのお話。
「あなたがこの子たちのお母さんだったんですか」とか、「私はリュウくん派」とか、並澤さん、言うことが良いです。
アニメで村おこし、聖地巡礼、私も秩父と飯能には複数回行きました。秩父は「あの花」の聖地巡礼で有名になったけど、「マリア様がみてる」4期の最終回の聖地でもあるんです。飯能は、「ヤマノススメ」のアニメに登場したところはほぼすべて走って回りました。
仕事にかける愛情、情熱はどの業界でもいっしょなのでしょうけど、アニメはこどものころの思い入れそのままに仕事をしている人が多いので、格別ですよね。
自分はアニヲタなので、気持ち、わかります。大変面白く読ませていただきましたし、最後は読んでて涙が出てきました。