(あらすじ・内容)
箱根駅伝を走りたい――そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。「駅伝」って何? 走るってどういうことなんだ? 十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ることに夢中で突き進む。自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく……風を感じて、走れ! 「速く」ではなく「強く」――純度100パーセントの疾走青春小説。
(感想)
私は、市民ランナーであり、コアな駅伝ファンなので、その立場で言わせていただけば、、、
堂場瞬一の「チーム」、高橋しんの「いい人。」、箱根駅伝を題材にした作品は他にもあるけど、この作品が一番ありえない、荒唐無稽なお話でした。
素人にいきなり5000m走らせても、15分とか18分なんてタイムは出ません。5000m33分の人が半年で17分を切ることもありません。また、17分の人がいるチームが箱根駅伝に出たら必ず最下位になります。
ラグビーワールドカップの南ア戦勝利どころではない、リトルリーグのチームが、プロ野球のチームに勝っちゃいましたくらいに、ありえない設定の小説でした。
同じ陸上部の話でも、「一瞬の風になれ」とは対照的、長距離を走るという経験をしたことがない人が、陸上部の練習に密着取材をすることなく、ざっとインタビューをして書き上げた作品なのかなと想像します。
でも、これはフィクションなんだ、エンターテインメントなんだって割り切ってしまえば、上質な娯楽作品に仕上がっていると思います。リアリティは欠けるけど、一気に読ませる三浦しをんさんの筆力はさすが、素直に面白かったです。
林遣都くん主演で映画化されたのですが、こちらはなかなかでした。一番素晴らしいと思ったのは、林遣都くんのランニングフォーム。大学の陸上部選手ですといわれても違和感がないくらい、きれいなフォームで、俳優ってのはすごいもんだなと、感服しました。